ニュース速報

ワールド

EUが法的措置辞さずと警告、北アイルランド巡る英の一方的行動で

2021年03月04日(木)09時33分

 3月3日、欧州連合(EU)は、英国政府が英領北アイルランドへの食品輸入検査を巡る猶予期間を一方的に延長したことに対し、法的措置を取ると表明した。写真は欧州委員会のセフコビッチ副委員長。ブリュッセルで2月23日、代表撮影(2021年 ロイター)

[ブリュッセル/ロンドン 3日 ロイター] - 欧州連合(EU)は3日、英国政府が英領北アイルランドへの食品輸入検査を巡る猶予期間を一方的に延長したことに対し、法的措置を取ると表明した。EUは英国による離脱合意違反だと反発している。

英政府は小売業者が輸入する北アイルランドへの農産物・食品にかかる一部検査について猶予期間を10月1日まで延長。英国へのモノの自由な流れを確保するのに必要だと説明している。

EUは声明文で、英国の行動は離脱合意で最も議論の激しかった北アイルランド議定書の項目に反するものだとして、「強い懸念」を表明した。

声明文は「英国政府が国際法を犯そうとするのはこれで2度目だ」と指摘。英国は昨年、国内法案に離脱協定に反する条項を盛り込もうとしたものの、取りやめた経緯がある。

欧州委員会のセフコビッチ副委員長は3日夜、EUとの関係を取り仕切る英閣僚デービッド・フロスト氏と電話協議し、懸念を伝えた。

英政府報道官によると、フロスト氏はセフコビッチ氏に対し、今回の延長はすでに実施している措置を継続する一時的な対応であり、スーパーマーケット事業者などの企業が順応できるようさらに時間を与えることが目的だと説明。フロスト氏は、英国は義務を果たすため誠意を持って行動しているとも語ったという。

欧州委員会は離脱協定と貿易協力協定で定められた法的手段にのっとって対応するとした。

ジョンソン英首相は3日、議会に対し、英国市場における北アイルランドの立場は「極めて堅固で保証されている」と指摘。「EUとのさらなる協議を待つ間、食品供給といった一部分野の市場を保護するため、一定の一時的な運用上の緩和」を行うことが必要との認識を示した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フォード195億ドル評価損、EV需要減退で不可避=

ワールド

英、外国からの政治介入調査へ 元右派政党幹部のロシ

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

米16州、EV充電施設の助成金停止で連邦政府を提訴
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中