ニュース速報

ワールド

サウジ皇太子、カショギ記者殺害を承認 米が報告書

2021年02月27日(土)07時54分

米国家情報長官室は26日、18年に起きたサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件について、サウジのムハンマド皇太子がカショギ氏の「拘束もしくは殺害する作戦を承認した」とする報告書を公表した。写真はムハンマド皇太子。20年12月、リヤドで撮影(2021年 ロイター/Saudi Press Agency/Handout via REUTERS)

[ワシントン 26日 ロイター] - 米国の情報機関を統括する国家情報長官室は26日、2018年に起きたサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件について、サウジのムハンマド皇太子がカショギ氏の「拘束もしくは殺害する作戦を承認した」とする報告書を公表した。

カショギ氏は18年、トルコ・イスタンブールのサウジ領事館で殺害。生前は、米紙ワシントン・ポストにサウジ政権に批判的な論説を寄稿していた。

バイデン政権は、同報告書の公表を拒否していたトランプ前政権の路線から一転し、公表に踏み切り、米・サウジ関係再調整に向けたコミットメントを明示した。同時に、イラン核合意復帰や中東地域の諸問題への対処で最も緊密なアラブ同盟国の一つであるサウジとの強い関係維持に向け、微妙なさじ加減での対応が求められている。

国家情報長官室の報告書は、ムハンマド皇太子が意思決定権を握っていたことなどを踏まえ、「カショギ氏をトルコのイスタンブールで拘束、もしくは殺害する計画をムハンマド皇太子が承認したと認識している」とし、「ムハンマド皇太子は2017年以降、サウジの情報機関を完全に掌握していた。こうした状況下は、ムハンマド皇太子の承認なくしてサウジ当局者がこのような活動を実施できる可能性は極めて低い」とした。

米政府はムハンマド皇太子本人に対する制裁措置は見送ったものの、情報機関の副長官を務めたアフメド・アル・アシリ氏と、警備隊のラピッド・インターベンション・フォース(RIF)に対する制裁を発動させた。国家情報長官室は報告書で、RIFがカショギ氏の殺害に関与したとして名指ししている。

このほか、国家による国外のジャーナリストや反体制活動家に対する行動を標的とした新たな措置の下で、サウジ国籍76人を対象にビザ(査証)制限を実施する。

バイデン政権当局者は、米国がサウジとどのような関係を将来的に構築していきたいか、制裁措置と査証制限で明確なメッセージを送ることになると指摘。オースティン国防長官がムハンマド皇太子とすでに協議を行ったことを明らかにした。

別の当局者は、ムハンマド皇太子に対する制裁発動の議論について、米政府は「国の最高レベルの指導者」に対する制裁措置はこれまで一般的に発動させていないと述べた。

また、関係筋によると、バイデン政権はサウジへの武器売却取りやめを検討しているという。「防衛」兵器の売却については容認される見通し。

米国家情報長官室の報告書について、サウジは「容認できない」と反発。サウジ国営通信によると、外務省は声明で「サウジ政府はこの報告書を完全に否定する」と表明。「この犯罪は個人のグループが引き起こしたもので、サウジ政府はこのような悲劇が二度と起こらないよう、必要な対策を講じた」とした。

ただ同時に「サウジ外務省は米国とのパートナーシップが強固であることを確認する」との見解も示した。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベネズエラ、今月初めの米軍による攻撃で兵士47人死

ワールド

EU、重要インフラでの中国製機器の使用を禁止へ=F

ワールド

イラン抗議デモ、死者3000人超と人権団体 街中は

ワールド

韓国、米のAI半導体関税の影響は限定的 今後の展開
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向」語る中、途方に暮れる個人旅行者たち
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない…
  • 5
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 6
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中