ニュース速報

ワールド

議会乱入で米企業の献金停止相次ぐ、バイデン氏承認反対議員に

2021年01月12日(火)11時48分

 米ホテルチェーン大手マリオット・インターナショナルと独立系の保険会社36社で構成されるブルークロス・ブルーシールド協会は10日、昨年11月の大統領選でのバイデン氏勝利の認定に先週反対した議員への献金を停止すると発表した。写真は上下両院合同本会議に出席するホーリー上院議員(共和党)。ワシントンで7日撮影(2021年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 11日 ロイター] - トランプ米大統領の支持者が連邦議会議事堂に乱入した問題を受け、バイデン氏の大統領選勝利認定に反対した議員への献金を停止する企業が相次いでいる。

これまでに献金停止を発表した企業はアマゾン・ドット・コム、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ダウ、AT&T、コムキャスト、ベライゾン・コミュニケーションズ、アメリカン・エキスプレス、エアビーアンドビー、ベスト・バイ、マスターカードなど多数に及んでおり、共和党の資金調達が抑制される恐れがある。

AT&Tやコムキャストなどは特に献金額が大きい。

グリーティングカード大手のホールマークも献金を停止する方針を発表。共和党のジョシュ・ホーリー上院議員とロジャー・マーシャル上院議員がバイデン氏の勝利に異議を唱えたことを受け、両議員に対し献金を全額返還するよう求めた。

両議員からのコメントは得られていない。

こうした企業の決定が、永続的な影響を及ぼすかどうかは明らかではない。現在、政治家の資金集めは選挙後の休止状態にあり、企業や業界団体にとって方針を見極める期間となるとみられる。

化学メーカーのダウは他社よりも踏み込み、バイデン氏の勝利認定に反対した議員への献金停止を1任期(下院は2年、上院は最大6年)続けるとしている。

フォード・モーターやマイクロソフト、アメリカン航空、グーグルの持ち株会社アルファベット、フェイスブック、ゴールドマン・サックスなどは共和、民主両党への献金を一時的に停止するとした。

投資会社のブラックストーン・グループやKKRは、全て政治献金を停止したと表明した。

GEは献金停止を2022年末まで継続し、その後、政治活動委員会を監督する従業員委員会が「ケースバイケース」で、反対議員の支持要請を検討するという。

アマゾンは「これまで支持してきた議員と直接」懸念について話し合った上で、今後、献金を再開するかどうか決定するとした。

米議会では6日、大統領選の結果認定に向けた選挙人投票の集計が行われる中、トランプ大統領の支持者らが議事堂に乱入。混乱の中、警官1人を含む5人が死亡した。

その後に再開された認定プロセスでは、ペンシルベニア州あるいはアリゾナ州での大統領選結果に異議を唱えた共和党議員は上下両院を合わせ147人に上った。議会は7日にバイデン氏の勝利を認定した。

共和党の戦略担当者は匿名を条件に、バイデン氏の勝利認定に反対した共和党議員が多数に上ったことから、企業にとってこれらの議員を単純に切り捨てることは困難になると語った。

複数のアナリストも、企業は議会とのつながりを確保する必要があると指摘。企業にとっては、そのつながりを失うことのほうが、米国の民主主義を傷つける議員らを支援していると受け止められることよりリスクが高いだろうとし、献金停止は永久には続かないと分析した。

スタンフォード大学の法律学教授、ナサニエル・パーシリー氏は「選挙から2カ月後に献金を停止するのは非常に容易だが、問題はこうした方針が持続するかどうかだ」と述べた。

*内容を追加します。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏「ウクライナ全土がロシアのもの」、スムイ

ワールド

英下院、安楽死容認法案を可決 法制化に向け上院審議

ビジネス

FRB、7月利下げ検討すべき 関税影響は限定的=ウ

ビジネス

関税の影響を評価するのは時期尚早=FRB金融政策報
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 8
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 9
    「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プ…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中