ニュース速報

ワールド

イラン、核科学者暗殺で報復宣言 イスラエル関与「重大な形跡」

2020年11月28日(土)07時06分

11月27日、 イラン国営メディアは首都テヘラン近郊で核科学者のモフセン・ファクリザデ氏が暗殺されたと報じた。自動車に乗っていたところ何者かに襲撃され負傷。搬送先の病院で死亡した。同氏はイランの核開発で中心的役割を担っていたとされる。写真は同日、テヘラン近郊の暗殺現場で(2020年 ロイター)

[ドバイ 27日 ロイター] - イランの国営メディアは27日、首都テヘラン近郊で核科学者のモフセン・ファクリザデ氏が暗殺されたと報じた。自動車に乗っていたところ何者かに襲撃され負傷。搬送先の病院で死亡した。同氏はイランの核開発で中心的役割を担っていたとされる。

最高指導者ハメネイ師は国営メディアで報復を宣言。ハメネイ師の軍事顧問を務めるデフガン氏はツイッターで「殺人者を急襲し、その所業を後悔させる」と述べた。

ザリフ外相はツイッターで、暗殺にイスラエルが関与したことを示す「重大な形跡」があるとした上で、国家ぐるみのテロ行為を非難するよう西側諸国に要求した。

メッセージアプリ「テレグラム」のイラン革命防衛隊系アカウントによると、国家安全保障最高評議会が軍司令官らを交え、緊急会合を開いたという。

こうした中、国連のグテレス事務総長は広報を通じて「ファクリザデ氏暗殺に関する報道に留意しており、地域の緊迫化につながるような行動を回避し、自制するよう求める」と表明した。

イスラエルや米ホワイトハウス、米国防総省、米国務省、米中央情報局(CIA)、バイデン氏政権移行チームは、いずれもコメントを控えた。

ファクリザデ氏は、イランが秘密裡に進めていた核兵器開発のトップと目されてきた。国際原子力機関(IAEA)は2015年の報告書で、同氏が「核開発の軍事的側面」を支援するための活動を監督していると指摘。ただ、イラン側は長らく核兵器開発を否定している。

オバマ前大統領のイラン担当顧問を務め、バイデン陣営にも非公式に協力しているロバート・マリー氏は、ファクリザデ氏の殺害について、トランプ政権の末期に起きた一連の動きの一つと指摘。「一つの目的は、イランの経済や核開発にできる限りのダメージを与えることで、もう一つの目的はバイデン氏にイランと外交関係や核合意を容易に再開させないための試みと言える」と分析。誰が暗殺に関与しているかについては明言を避けた。

*情報を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア停戦を評価 相互信頼再構

ワールド

米ロ首脳が電話会談、両氏は一時停戦案支持せずとロ高

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中