ニュース速報

ワールド

米、「信頼できない」中国アプリ排除へ 個人・企業の情報保護

2020年08月06日(木)13時11分

 8月6日、 トランプ米政権は5日、「信頼できない」中国製アプリを米国のデジタル網から排除する取り組みを強化すると表明した。写真は代表撮影(2020年 ロイター)

[ワシントン 5日 ロイター] - トランプ米政権は5日、「信頼できない」中国製アプリを米国のデジタル網から排除する取り組みを強化すると表明した。また、中国企業の傘下にある短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や対話アプリ「微信(ウィーチャット)」は米国民の個人情報に対する「重大な脅威」との認識を示した。

ポンペオ国務長官は「クリーンネットワーク」計画として進めてきた政府の取り組みを拡充すると発表。5つの分野に重点を置き、その一環として、さまざまな中国製アプリや中国の通信会社が米国民の個人情報や米企業の機密情報にアクセスするのを阻止する措置を講じるとした。

「親会社が中国にあるTikTokやウィーチャット、その他のアプリは、中国共産党のコンテンツ検閲ツールであるのは言うまでもなく、米国民の個人情報に対する重大な脅威だ」と述べ、信頼できない中国製アプリは米国のアプリストアから排除するのが望ましいとの認識を示した。

中国の王毅外相は国営新華社の5日のインタビューで、米国に「クリーンネットワーク」を構築する「権利はない」と述べ、米政府の行為は「教科書通りのいじめ」だと非難。

「テクノロジー分野での自国の独占的地位を守り、他国の正当な発展の権利を奪うのが米国の狙いだというのは誰でも見抜くことができる」と語った。

トランプ大統領は中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)に対し、傘下TikTokの米国事業を9月15日までに売却するよう求め、合意が成立しなければ運営を禁止するとしている。

ポンペオ氏は中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]についても、米国の人気アプリの事前インストールや配信をできないようにする意向を表明。「企業がファーウェイによる人権侵害に加担したり、中国共産党の監視道具となるのを回避したい」と述べた。

また、国務省と他の政府機関が協力して米国民の個人情報や、新型コロナウイルスのワクチン研究データなど米国の知的財産を保護すると表明。アリババや百度(バイドゥ)、中国移動(チャイナ・モバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、騰訊控股(テンセント)などが運営するクラウドベースのシステムを通じたこれらの情報へのアクセスを阻止する考えを示した。

さらに、バー司法長官、エスパー国防長官、ウルフ国土安全保障長官代行とともに、中国電信など4社に付与している、米国と海外を結ぶ通信事業の免許を取り消すよう連邦通信委員会(FCC)に促すとした。

米国と国際インターネット通信網を結ぶ海底ケーブルで伝達される情報を中国が不正入手できないよう、国務省として取り組む考えも示した。

ポンペオ氏が示した方針は、中国のテクノロジー企業による米市場や米消費者へのアクセスを制限する取り組みの拡充・加速を反映している。

国務省は声明で、クリーンネットワーク計画は加速しており、30の国・地域や世界の通信大手の多くが「クリーン」と認定されたとした。

その上で米同盟国に対し、「中国共産党の監視国家や他の悪意ある組織」からデータを守る流れに加わるよう呼び掛けた。*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

9月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比4.

ビジネス

MSとエヌビディア、アンソロピックに最大計150億

ワールド

トランプ政権の移民処遇は「極めて無礼」、ローマ教皇

ワールド

スペイン、9.4億ドルのウクライナ支援表明 ゼレン
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中