ニュース速報

ワールド

豪が香港市民のビザ延長、犯罪人引き渡し条約は停止 中国反発

2020年07月09日(木)19時10分

 7月9日、オーストラリアのモリソン首相(写真)は、中国が香港への統制を強める「香港国家安全維持法」(国安法)が施行されたことを受け、香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると発表した。写真はシドニーで2月撮影(2020年 ロイター/Loren Elliott)

[シドニー 9日 ロイター] - オーストラリアのモリソン首相は9日、中国が香港への統制を強める「香港国家安全維持法」(国安法)が施行されたことを受け、香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると発表した。香港市民に対するビザ(査証)延長などの措置も明らかにした。

モリソン首相は、国安法施行によって状況が根本的に変化したと判断し、犯罪人引き渡し条約の停止を決めたと説明した。同法の下では、容疑者は中国本土で裁判にかけられる可能性がある。

首相はその上で「香港市民の中には、別の土地で自身のスキルを生かして新しい生活を始めたいと希望する人もいるかもしれない」とし、豪在住の香港市民の滞在を支援する措置を発表した。

香港からの留学生は卒業後5年間、豪国内での滞在が認められ、その後永住権を申請することができる。一時就労ビザで滞在している香港市民も、5年のビザ延長とその後の永住権申請が可能になる。

中国政府は反発。外務省の趙立堅報道官は、豪政府は方針を転換し、中国の問題への介入をやめるべきとし、中国は報復措置を取る権利を有すると警告した。

豪にとって、中国は最大の輸出先。駐豪中国大使は、豪政府が干渉をやめなければ代償を払うことになると警告した。

<人材受け入れ、企業誘致>

豪政府によると、国内には現在、学生ビザと一時就労ビザで1万人の香港市民が滞在、そのほか1250件の申請がされている。香港市民の申請は「Global Talent Scheme」などの制度の下で優先処理される。また、香港市民は難民向けビザの申請もできるという。

アジアの拠点を香港に置いている金融サービスや、コンサルティング、メディアなどの企業の移転も誘致する。インセンティブや従業員の異動に必要なビザを提供するとしている。

一方、豪国民に対しては、香港で拘束されるリスクが高まったとして、渡航を控えるよう呼び掛けるとともに、現地に居住している国民には滞在の必要性を再考するよう促した。

国安法施行を受けた措置としては、カナダ政府が先週、香港との犯罪人引き渡し条約停止を発表。

ニュージーランドも9日、容疑者の引き渡しや戦略的製品の輸出、渡航勧告など、あらゆる点において香港との関係を見直すと発表した。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P反落、対イラン作戦の早期

ワールド

米、イスラエルにイランのエネ施設攻撃停止を要請=報

ビジネス

イラン巡るエネ価格急騰は一時的、米報道官 国民の懸

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、中東情勢にらみリスク回避
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 5
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 6
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 9
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 10
    トランプも無視できない? イランで浮上した「危機管…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中