ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏のアフガン電撃訪問、WHの秘密作戦が奏功

2019年12月07日(土)09時19分

 11月29日、情報がリークされることで名高くセキュリティー上の手落ちも多い米ホワイトハウスが、先週のトランプ大統領によるアフガニスタン電撃訪問では、いつになく用意周到だった。写真は28日、バグラム米空軍基地で(2019年 ロイター/Tom Brenner)

Humeyra Pamuk

[バグラム米空軍基地(アフガニスタン) 29日 ロイター] - 情報がリークされることで名高くセキュリティー上の手落ちも多い米ホワイトハウスが、先週のトランプ大統領によるアフガニスタン電撃訪問では、いつになく用意周到だった。秘密裏に事を進めるのに成功。大統領が機上にいる間に、準備してあったツイートを投稿するなどして、訪問が狙い通りの形で報道されるよう策を練ったと政権高官らは語る。

トランプ氏は26日、アフガニスタンのバグラム米空軍基地を予告なしで訪れた。アフガン訪問は初めてで、紛争地域を訪れるのは大統領就任以来2度目。バグラムでは駐留米兵らに七面鳥の夕食を振る舞い、自撮り写真の求めに応じ、米国と反武装勢力タリバンは和平協議の再開を望んでいると記者団に話した。

往復の移動時間を含め33時間のアフガン訪問で最も意外だったのはおそらく、トランプ氏が帰国に向け現地を出発する直前まで、訪問をひた隠すのに政府が成功したことだろう。ホワイトハウスのグリシャム報道官によると、ホワイトハウスは数週間前から訪問の準備を進めていた。

情報リークとトランプ氏の気ままなツイッター投稿に何度も足をすくわれてきたホワイトハウスは、今回の訪問をごく内輪の当局者にしか知らせなかった。

トランプ氏は26日、すべての出張に同行している記者団を伴い、公式日程通りフロリダ州の高級リゾートホテル「マールアラーゴ」に飛んだ。

28日午後、日程通り駐留米軍との電話会談のために姿を現すトランプ氏を待っていた記者団は、大統領が米兵らと直接会うため、昨晩のうちに1万3400キロ彼方のアフガニスタンに旅立ったことを知らされる。

「そこは危険地帯で、彼(トランプ氏)は軍を励ましたいのです」。27日夕、大統領専用機エアフォースワンに搭乗していた少数の記者団にグリシャム報道官はこう語り、ホワイトハウスが大統領の本当の動きを隠した意図を説明していた。

これらの「第2記者団」がワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地近くの駐車場にこっそり集合したのは、ほんの数時間前のことだ。記者らはミニバンに乗り、大統領がいつも離陸する基地へと送迎された。

これに先立ち、この記者らはトランプ氏がお忍びでどこか秘密の場所を訪れることを知らされていた。

基地に入った途端、記者らはスマートフォンや、電波を発信できるあらゆる機器を没収され、返却されたのはトランプ氏がバグラムに到着してから少なくとも2時間後だった。

グリシャム氏によると、13時間のフライト中、ホワイトハウスのスタッフを含め、エアフォースワンの搭乗者はだれ1人としてスマホにアクセスできなかった。客室はほとんど消灯され、窓のブラインドは閉められたままだった。

昨年のクリスマス、駐留米軍慰問のためイラクに向かっていたエアフォースワンを、イングランド上空で航空機追跡マニアが発見。見紛うことなきトルコブルーをあしらった機体の写真がツイッターに投稿され、SNS上で大騒ぎになった。前日に数十もの投稿があったトランプ氏のツイッターがいつになく静かなこともあり、同氏は紛争地域に向かっているとの臆測が飛び交った。

グリシャム氏によると、ホワイトハウスは今回、大統領のツイッターアカウントが継続性を保つよう準備し、大統領が機中にいる間に感謝祭を祝う投稿が流れるようにした。

バグラム基地で「USA」の連呼で迎えられたトランプ氏は「素晴らしい感謝祭ディナーだった」と演説。「どこか別の場所でディナーすることになると思っていたよ」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中