ニュース速報

ワールド

NATO加盟国の拠出不十分、独は「ロシアの人質」=トランプ氏

2018年07月11日(水)19時21分

 7月11日、トランプ米大統領(写真右)は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の拠出額拡大はまだ不十分との認識を示した。左はストルテンベルグNATO事務総長、ブリュッセルで撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ブリュッセル 11日 ロイター] - トランプ米大統領は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の拠出額拡大はまだ不十分との認識を示した。

同大統領は記者団に対し、「過去1年間にNATOに約400億ドルの追加拠出があったが、不十分だ。米国は拠出し過ぎており、他国から、特に一部の国からの拠出が少ない」と指摘。

その上で「この状況は何十年も続き均衡を欠いている。米国の納税者にとって不公平だ。我々はこれを公平にしようとしており、この点でNATO事務総長の努力を称賛したい」と述べた。

NATO首脳会議を前にトランプ大統領はストルテンベルグ事務総長と会談。欧州で最も裕福なドイツがロシアからの資源輸出パイプラインを支持する一方で、ロシアから欧州を防衛するために米国が資金を拠出するのは「非常に不適切」と指摘した。

トランプ大統領は、このバルト海パイプラインを支持しているドイツを「ロシアの人質だ」と非難した。

「米国はドイツ、フランスをはじめ欧州諸国を守っている。しかし、多くの国がロシアと(エネルギー供給のための)パイプラインで合意し、ロシアに多額の資金を支払っている」と述べた。

ドイツは国内から石炭や核エネルギーを排除したが、「大量の石油やガスをロシアから得ている。NATOはこれを考慮する必要がある」と指摘した。

トランプ大統領は「ドイツはロシアに完全に支配されている。エネルギーの60─70%をロシアと新たなパイプラインから調達しているからだ」と主張したが、実際はロシアからの石油と天然ガスの輸入は全体の約20%にすぎない。

ドイツのフォンデアライエン国防相は記者団に「ロシアとの間に多くの問題があるのは間違いない」としながらも、同盟国とも対立する国とも、常に連絡を取れるようにしておくべきだと反論した。

またストルテンベルグ事務総長は記者団に、トランプ大統領は「非常に直接的な表現」を用いたが、全てのNATO加盟国が防衛費用を負担し合う必要があることで一致していると指摘した。昨年は各国の拠出が大幅に増加したとも述べた。

*内容を追加しました。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

12月利下げは不要、今週の利下げも不要だった=米ダ

ビジネス

利下げでFRB信認揺らぐ恐れ、インフレリスク残存=

ワールド

イスラエル軍がガザで攻撃継続、3人死亡 停戦の脆弱

ビジネス

アマゾン株12%高、クラウド部門好調 AI競争で存
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中