ニュース速報

ビジネス

FRB当局者、追加利上げの可能性を警告 「インフレ高すぎる」

2023年09月23日(土)06時23分

米連邦準備理事会(FRB)当局者は22日、FRBが今週の会合で金利据え置きを決定した後も、一段の利上げの可能性について警告した。2019年3月撮影(2023年 ロイター/Leah Millis)

[ワシントン 22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者は22日、FRBが今週の会合で金利据え置きを決定した後も、一段の利上げの可能性について警告した。

当局者らの発言は「忍耐」などといった言葉で和らげられていたものの、金利がなお引き上げられる可能性のほか、これまでの予想よりも長期にわたり金融政策が引き締まった状態にとどまる可能性が高いとの考えを強調するものだった。

ボウマンFRB理事は、イベント向けの原稿で「インフレ率は依然として高すぎる。インフレ率を適時に2%の目標に戻すには、連邦公開市場委員会(FOMC)が金利をさらに引き上げ、当面は制約的な水準に維持することがおそらく適切と予想している」と指摘。FRBは「適時に」インフレを抑制するために政策金利をさらに引き上げる必要があると述べた。

また、現在の政策金利の水準ではインフレ率の鈍化ペースは遅いとしたほか、エネルギー価格が一段と上昇し、これまでの進展が一部覆される可能性があるとも述べた。

ボストン地区連銀のコリンズ総裁はメーン州銀行協会向けの講演で、インフレがまだ明確に抑制されていない現状では、さらなる利上げは「選択肢から除外されていない」とし、FRBの高金利長期化見通しに支持を表明。 「インフレ率が2%の目標まで持続可能な軌道に乗っていると確信するには時期尚早だ。金利は以前の予想よりも高く、長く維持されなければならないかもしれないと予想している」と述べた。

FRB当局者の中でハト派と見なされているサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、最近のインフレ率の低下と労働市場の緩やかなリバランスが歓迎すべきニュースなのは明らかだが、さらなる政策引き締めが必要かどうかを判断するにはより多くのデータが必要とし、勝利宣言する用意はできていないとし、「忍耐は賢明な戦略だ」と述べた。

ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、ミネソタ州のエコノミック・クラブで行った講演で、現在の金融政策に関する自身の考えは示さなかったものの、FRBの積極的な利上げで個人消費に急激なブレーキがかかると予想していたが、ブレーキはかかっておらず、予想を上回り続けていると語った。

FRBは19─20日に開いたFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置いた。ただタカ派的なスタンスを強め、年内の追加利上げを想定した。

ボウマン理事は今回の金利据え置きについて、「堅調な」経済成長が続く兆候とともにインフレ低下や雇用の伸び鈍化を示す「まちまちのデータ」が見られるため支持すると述べた。

カシュカリ総裁は現在、FOMCで投票権を持っているが、コリンズ総裁とデイリー総裁は持っていない。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イスラエル、ガザ巡る国連職員の中立性に疑義 幹

ビジネス

米アメックスがプラチナカード刷新で3500ドル追加

ビジネス

午前の日経平均は続伸、ハイテク株主導で最高値 一巡

ワールド

ウクライナ、ポーランド軍に対ドローン訓練実施へ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中