ニュース速報

ビジネス

米ファースト銀、公的管理下に JPモルガンが全預金引き継ぎ

2023年05月02日(火)09時10分

 5月1日、米カリフォルニア州金融当局は1日、経営不振の中堅銀行ファースト・リパブリック・バンクを閉鎖し、同行の資産をJPモルガン・チェース銀行に売却することで合意したと発表した。写真は4月、サンフランシスコにあるファースト・リパブリック・バンクの支店で撮影(2023年 ロイター/Loren Elliott)

[1日 ロイター] - 米カリフォルニア州金融当局は1日、経営不振の中堅銀行ファースト・リパブリック銀行を公的管理下に置き、資産をJPモルガン・チェース銀行に売却すると発表した。

米銀の破綻はシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行に続くもので、過去約2カ月で3行目となる。

当局はファースト銀の売却先を決める入札を実施。関係筋によると、入札には、JPモルガンのほかにPNCフィナンシャル・サービシズ・グループやシチズンズ・フィナンシャル・グループなども参加した。

JPモルガン・チェースは、ファースト銀の大半の資産を取得し、預金保護対象外のものを含め全預金を引き継ぐ。

ジェイミー・ダイモン会長兼最高経営責任者(CEO)は、行動を求める政府の呼びかけに応じたとし、「当行の財務力や能力、ビジネスモデルによって預金保険基金のコストを最小限に抑えることができた」と説明した。

米財務省報道官は1日、全ての預金者が保護され預金保険基金へのコストを最小限に抑える形で問題を解決できたことに勇気づけられると表明。米国の銀行システムは依然として健全で底堅いと述べた。

ウェルズ・ファーゴのアナリストは、今回の措置の発表前にまとめたリポートで「心配の壁が弱まる可能性がある。ファースト・リパブリックの処理により、シリコンバレー銀行に端を発した7週間の危機に終止符が打たれるだろう」と述べた。

JPモルガンによるファースト銀取得は市場の懸念を和らげると同時に、最大手行がさらに大きくなることで中小銀行のビジネス環境悪化を招くおそれがあるという指摘も聞かれた。

非営利団体ベター・マーケッツのデニス・ケルハー代表は「不健全な統合、不公平な競争、大きすぎてつぶせない銀行の危険な増加は総じて地銀や中小企業向け融資、経済成長に害を及ぼす」と指摘。「規制当局は、経営困難となった危険な銀行の清算ではるかに優れた計画を策定する必要がある」と述べた。

JPモルガンはすでに全米の銀行預金総額の10%超を保有。ウェルズ・ファーゴのアナリストによると、ファースト銀取得によって、ネットベースでさらに3%増加する見通し。

JPモルガンの株価は約2.5%上昇し。他の大手行も連れ高となった。一方、地銀株は売りにさらされ、KBW地域銀行指数は2%超下落した。

<大手銀の「支援」預金払い戻しへ>

合意の一環で、JPモルガンは米連邦預金保険公社(FDIC)に106億ドル支払う。また、取得した一戸建住宅ローンや商業ローンについてFDICと損失分担契約を締結した。

ファースト銀のローン約1730億ドル、証券300億ドル、預金920億ドルを引き継ぐ。ファースト銀の社債や優先株は引き継がないとしている。

3月に大手銀行が事実上の支援として実施したファースト銀への預金300億ドルのうち250億ドルを払い戻す予定。

FDICは声明で、ファースト銀の処理で預金保険基金が負う費用は130億ドル程度になるとの見通しを示した。最終的なコストはFDICの管理が終了した時点で決まる。

JPモルガンは、今回の取引に伴い約26億ドルの一時利益(税引き後)を計上するとの見通しを表明。一時利益には、今後18カ月で発生するとみられる推定20億ドルのリストラ費(税引き後)は反映されていない。

ファースト銀の事業を引き継いだ後も資本基盤は盤石と説明。普通株式等Tier1比率は2024年第1・四半期の目標(13.5%)と合致し健全な流動性バッファーを有するとした。

取得した事業は、コンシューマー・コミュニティー銀行業務の共同CEOのマリアンヌ・レーク、ジェニファー・ピープスザック両氏が統括する。

ファースト銀の8つの州にある84の拠点は1日からJPモルガン・チェースの支店として業務を再開する。

<金利上昇>

米シリコンバレー銀(SVB)、シグネチャー銀行の破綻、スイス金融大手UBSによる経営不安に陥ったクレディ・スイス買収、さらに今回のファースト銀の破綻と、銀行部門で続くストレスについて、米連邦準備理事会(FRB)にょる積極的な利上げに起因するという指摘もある。

グレート・ヒル・キャピタルの会長兼マネージングメンバー、米国のトーマス・J・ヘイズ氏は「SVB破綻の際には、容易に同行の経営陣を非難できたが、これまでのトレンドを見ると、FRBの過度に大幅かつ速いペースでの行動によって状況が損なわれていることは明白だ」と指摘した。

CMEグループのフェドウオッチによると、市場が織り込む今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利上げの確率は90%となっている。

*動画を更新して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ビジネス

イラン情勢注視続く、FRB金利見通しも焦点=今週の

ワールド

イスラエル、レバノンと数日内に協議へ ヒズボラと戦

ワールド

北朝鮮の金総書記、多連装ロケット砲の発射訓練視察=
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 7
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 10
    【銘柄】「日本マクドナルド」の株価が上場来高値...…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中