ニュース速報

ビジネス

中国株式市場、AIブームでTMT株急伸 過熱懸念する声も

2023年03月30日(木)12時57分

中国の株式市場ではテクノロジー(T)、メディア(M)、通信(T)のいわゆる「TMT株」がAI(人工知能)ブームを追い風に大幅に値上がりし、過熱を懸念する声が出ている。写真は2020年2月、上海証券取引所ビルのそばを歩く男性で、中国・上海の浦東金融街で撮影(2023年 ロイター/Aly Song)

[上海/シンガポール 29日 ロイター] - 中国の株式市場ではテクノロジー(T)、メディア(M)、通信(T)のいわゆる「TMT株」がAI(人工知能)ブームを追い風に大幅に値上がりし、過熱を懸念する声が出ている。

中国本土企業のセクター別株価指数のうちコンピューター、通信機器、メディアの各指数は年初来で29─35%上昇。一方、指標となるCSI300指数の上昇率は3.5%にすぎない。

招商証券の調べによると、先週は複数の営業日で取引高全体に占めるTMT株の割合が40%を超えた。取引高がこれほど特定のセクターに集中するのは初めて。

投資家は米マイクロソフトが導入した「チャットGPT」のようなAIチャットボットがTMTセクターに革命を起こし、コストを引き下げ、成長の新しい道を開くとの期待から買いを入れているという。

信達証券のまとめたデータによると、主にTMTセクターに投資する上場投資信託(ETF)には過去3カ月間に差し引き40億元(5億8000万ドル)が流入。純流入額がセクター別でトップとなった。

しかし中国のパンデミックからの回復力に懐疑的な見方が広がり、株式市場全体の上昇が鈍るにつれて、TMTセクターへの資金の集中がより広い範囲でリスクをもたらしている。

国盛証券のアナリストはノートで「TMTセクターの資金吸い上げ効果はますます明白になっている」と警告し、他のアナリストも基礎的諸条件が揺らいでいるようだと指摘した。

半導体メーカーの寒武紀は2017年以来、赤字決算が続いているにもかかわらず、時価総額が100億ドルを突破。AIツールを手掛ける北京海天瑞声科技はAIGC(AI生成コンテンツ)による受注の大幅な伸びは見込んでいないと投資家に注意を促したにもかかわらず、株価が4倍に膨らんだ。

華創証券のチーフストラテジスト、ヤオ・ペイ氏は「AIGCを巡る取引の過熱は明らだ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

市場動向、注意深く見守っている=高市首相

ワールド

中国から訓練の連絡あったが、区域など具体的な内容知

ビジネス

米電力消費、今年と来年は過去最高更新 米当局予測

ビジネス

中国11月物価統計、CPIが前年比で加速 PPIは
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中