ニュース速報

ビジネス

ECBの再投資、現慣行に沿い一部継続 環境配慮企業の社債選好

2023年02月03日(金)03時59分

欧州中央銀行(ECB)は2日、5兆ユーロの債券ポートフォリオの縮小を3月から開始した後も、現行の慣行に沿って満期を迎えた債券の償還金の一部を再投資し続けると発表した。2016年7月撮影(2023年 ロイター/Ralph Orlowski)

[2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は2日、5兆ユーロの債券ポートフォリオの縮小を3月から開始した後も、現行の慣行に沿って満期を迎えた債券の償還金の一部を再投資し、より環境に優しい企業が発行する社債を選好し続けると発表した。

ECBは昨年12月、満期を迎えた債券の償還資金を完全に再投資しないことで量的引き締め(QT)を実施すると表明。23年第2・四半期末までの圧縮幅を毎月平均150億ユーロとした。

ECBの発表によると、従来の資産購入プログラム(APP)からの償還額については、その一部を満期を迎える公的部門および民間部門の債券に比例して配分する。また、公的部門証券買い入れ(PSPP)の償還額については、その一部を満期を迎える国債、政府機関債、超国家機関債などに比例して再投資する。

また、保有資産の脱炭素化を図るため、ECBは3月までに民間企業が発行する新規社債の取得を停止する。ただ、発行企業が環境面で強固な実績のある場合は例外にするという。さらに、環境に優しいプロジェクトに資金を提供するグリーンボンド(環境債)については、プライマリー市場での購入を継続するとした。

社債の償還金の一部再投資については、昨年10月に開始したプロセスを強化し、気候変動対策に注力している企業に「より強化的に」振り向けられるとした。

アンソロポセン・フィックスド・インカム・インスティチュートのポートフォリオ戦略責任者、ジョー・リチャードソン氏は「ECBは保有している民間部門の債券をより環境にやさしい発行体に傾倒させるというコミットメントを再確認した」と指摘。「ECBはプライマリー市場での関心が発行体の気候変動に関するパフォーマンスに左右されることを明確にしている。社債の最大の買い手として、高排出国の資金調達スプレッドに影響をおよぼすだろう」と述べた。

ECBのラガルド総裁は2日、ECBは企業が環境に配慮しているように見せかける「グリーンウォッシング」の「共犯者」にならないように用心するとした。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

主要国・地域の25年成長率見通し上げ、AIブームで

ワールド

ロシア船籍タンカーにドローン攻撃、トルコ沖で 乗組

ビジネス

英中銀、銀行の自己資本比率要件を1%引き下げ 経済

ワールド

香港、火災調査で独立委設置へ 死者156人・30人
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中