ニュース速報

ビジネス

米FRB0.25%利上げ、「継続的な引き上げ適切」との文言維持

2023年02月02日(木)06時23分

米連邦準備理事会(FRB)は1月31─2月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ4.50─4.75%とした。決定は全会一致。インフレへの対応を進める中、「進行中」の利上げが適切と表明した。(2023年 ロイター/Chris Wattie)

[ワシントン/ニューヨーク 1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は1月31─2月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ4.50─4.75%とした。決定は全会一致。インフレへの対応を進める中、「継続的な」利上げが適切と改めて表明した。

FRBは声明で「インフレ率は幾分和らいだが、引き続き高止まりしている」と指摘。「ウクライナに対するロシアの戦争は、多大な人的および経済的困難を引き起こし、世界的な不確実性の高まりの一因となっている。委員会はインフレのリスクを非常に注視している」とした。ただ、物価上昇の直接的な要因として戦争と新型コロナウイルス感染拡大に言及した部分を削除した。

米経済は「緩やかな伸び」を示し、雇用の伸びは「堅調」とし、徐々にインフレ率を2%に戻すのに十分な制限的な金融政策姿勢を達成するため、「継続的な」目標誘導レンジの引き上げが適切になるとした。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、このところのインフレを巡る進展は「喜ばしい」としながらも、利上げ終了を示唆するには不十分と強調。「インフレが目標に回帰していると確信するためには、インフレ低下を示す一段の実質的な証拠が必要になる」と述べた。

同時に、米経済を大幅な景気後退(リセッション)に陥らせることなくインフレ目標を達成する道はあると信じているとし、FRBがインフレを引き下げるのに十分と考える水準まで「あと数回」のところまで来ている可能性があると述べた。

ただ、インフレ抑制に向けた取り組みを進める中、FRBがどこで利上げを停止するかは分からないとも表明。ターミナルレート(利上げの最終的な到達点)が昨年12月に示した5.1%を超える可能性もあるとの見方を示した。

その上で、現在の見通しでは経済成長は鈍化し、失業率は緩やかに上昇し、インフレ率は緩やかに低下すると予想。「経済がこうした予想とおおむね一致すれば、年内の利下げは適切ではない」と述べた。

今回のFOMC声明では、今後の利上げ「ペース」に関する言及はなく、代わりに利上げの「程度」に言及。今後の利上げ幅が今回と同様に0.25%ポイントになる可能性が示唆された。

ただ、これまでに実施した政策が経済にどのような影響を及ぼしたかを考慮すると表明。今後の利上げは経済データの推移に左右される可能性が示された。

バンクレートのチーフファイナンシャルアナリスト、グレッグ・マクブライド氏は「今後の利上げ一時停止の明確な兆候を期待していた場合は、肩透かしを食らった」とし、「FRBは声明で継続的な利上げとの表現を維持し、今後の経済データの内容次第との選択肢を残した」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否 ネト

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も

ビジネス

EU、炭素国境調整措置を強化へ 草案を正式発表

ワールド

インドネシア中銀、3会合連続金利据え置き ルピア支
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中