ニュース速報

ビジネス

東南アジアのスタートアップ企業、投資熱が資金調達面で追い風に

2022年09月26日(月)11時52分

デジタル化が急速に進む東南アジアで、関連するスタートアップ企業に資金調達面で強い追い風が吹いている。写真は2021年10月、上海で撮影(2022年 ロイター/Aly Song)

[シンガポール 23日 ロイター] - デジタル化が急速に進む東南アジアで、関連するスタートアップ企業に資金調達面で強い追い風が吹いている。ベンチャーキャピタル(VC)や投資ファンドの間で、より高いリターンの実現や中国市場の規制強化を回避する狙いから、これらのスタートアップ企業向け投資資金を確保する動きが相次いでいるからだ。

インシグニア・ベンチャーズ・パートナーズや、ソフトバンクグループが支援するイーストベンチャーズなどが過去1年で集めた資金は合計で数十億ドル規模に上る。

ベンチャーファンドの1つ、500グローバル(運用資産28億ドル)でマネジングパートナーを務めるビシャル・ハーナル氏は「幾つかの世界最大級の機関投資家が東南アジアのような地域に資金を振り向ける戦略を打ち出している。東南アジアは6─7年前なら、このような大規模投資を吸収できるほどの市場ではなかった」と語る。ハーナル氏にとっても、今や東南アジアは世界的に最優先の投資先になっている。

ハーナル氏をはじめとするさまざまな有力投資家は、9月23日を含む週に開催されたプライベートエクイティーとベンチャーキャピタル業界の「スーパーリターン・アジア」会議に参加した。

TPGキャピタル・アジアの共同マネジングパートナー、ジョエル・シッキンズ氏もロイターに「現在ではインドと東南アジアへの投資意欲が以前よりずっと強まっている」と説明した。

実際、こうした投資意欲を取り込む形で東南アジア最大の配車・宅配サービス企業グラブ・ホールディングスは400億ドルの合併を経て、昨年12月に米ナスダックへ上場を果たした。競合するインドネシアのGoTo(ゴートゥー)グループは今年の国内上場で11億ドルを調達している。

さらに今月、デジタル金融サービスのFazzが1億ドルを確保し、デジタル決済プラットフォームを運営するXenditは5月に3億ドルを調達したと発表した。

スタートアップ企業の場合、デューディリジェンス(投資対象企業の経営・財務状況調査)には何カ月もかかり、ハイテク分野の企業価値は全般的に下げ圧力にさらされている。それでも複数の投資家によると、投資熱は衰えていない。

ハーナル氏は、「乗り遅れリスク」も存在すると指摘し、多くの機関投資家は今回、中国における起業家支援で絶好のタイミングを外して「驚異的な」リターンを得る機会を逃した経験が積極姿勢を取る動機になっているとの見方を示した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事の反対票、注目集めるもFOMC結果

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

前場の日経平均は反発、最高値を更新 FOMC無難通

ワールド

ガザ情勢は「容認できず」、ローマ教皇が改めて停戦訴
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中