ニュース速報

ビジネス

東芝問題を調査した弁護士、「一方的」との経産省批判に反論

2021年06月25日(金)00時17分

 6月24日 昨年7月の東芝株主総会について、株主から選任されて調査していた外部の弁護士は24日、調査報告書の内容は一方的とする経済産業省の主張に異議を唱えた。写真は閣議後に会見する梶山弘志経産相。6月15日、東京で撮影(2021年 時事通信)

山崎牧子 新田裕貴

[東京 24日 ロイター] - 昨年7月の東芝株主総会について、株主から選任されて調査していた外部の弁護士は24日、調査報告書の内容は一方的とする経済産業省の主張に異議を唱えた。調査報告書は、東芝と経産省が一体となり海外投資家の議決権行使に不当な圧力をかけたと結論付けている。

調査報告書は3人の弁護士が手掛け、10日に公表された。このうち和田倉門法律事務所の中村隆夫弁護士は24日、ロイターに対し、「客観的にいろいろな批判にも耐えうる形で信頼性の高いレポートを作った」と述べた。その上で、「調査報告書の信頼性が害されるような指摘については調査者として反論したい」と語った。

中村氏が指摘したのは、梶山弘志経産相が会見などで行った「一方的に断定されている」との発言。梶山氏は、米ハーバード大学の基金運用ファンドの議決権行使に影響を与えたなどと報告書で指摘された元経産省参与の水野弘道氏について、調査した弁護士と面談したにもかかわらず主張が反映されていないと批判した。ロイターも23日付の記事で、経産省幹部による同様の発言を引用した。

中村弁護士によると、面談内容を報告書に使いたい場合は記載内容をチェックすることで合意していた。同氏はM氏(報告書の中で言及されている水野氏とみられる人物)との面談後、同席していた仲介役の経産省幹部に発言の要旨をメールで送付。水野氏に転送して確認してもらいたいと依頼した。

しかし、この幹部から「面談の中でコメントを報告書に使わないでほしいとお願いしていた」、「全面的に再考してほしい」と言われ、取り次いでもらえなかった。面談の内容をそのまま報告書に記載して欲しくないとの意向が強いものと判断したという。

面談で聞き取りした発言の主旨は、M氏が公に発信している「ツイートなどを引用するなどの形でできるだけ反映させるようにした」としている。

ロイターは経産省に対し、同省幹部が水野氏に発言要旨のメモを渡さなかった理由を質問。荒井勝喜総括審議官は、「水野氏はもともと報告書に使われる前提で話をした」と説明。その上で、報告書にどう記載されるかを確認したいと伝えていたにもかかわらず、送られてきた水野氏の発言は議事録のメモだったとした。ハーバード大基金との個人的なやり取りも含まれていたという。

荒井氏は、調査者が「水野氏と約束したものは何も提示されなかった。これを水野氏に伝えてよいか確認を求めたが、その後連絡はなかった」と述べた。

中村弁護士はこれに対し、「掲載してほしくない事項や、認識に誤りがあり修正すべき点などがあれば指摘をしてほしいと伝えた」と語った。

*経産省のコメントを追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送ウォーシュ氏、FRB議長就任前に理事ポスト着任

ワールド

トランプ氏「利下げに前向きと確信」、次期FRB議長

ビジネス

米PPI、12月は前月比0.5%上昇 5カ月ぶりの

ワールド

FRBの利下げ見送りは失策、ウォーシュ氏は議長に適
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 7
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中