ニュース速報

ビジネス

海外アクティビスト厳格に監視を、東芝の重要性を理解せず=自民・甘利氏

2021年06月24日(木)19時54分

 6月24日 自民党で経済安全保障の議論を主導する甘利明衆院議員は、海外株主に不当な圧力をかけたとされる東芝の問題に言及し、海外アクティビストは経済安保における同社の重要性を理解していないと語った。写真は甘利氏。2020年10月、東京の自民党本部で撮影(2021年 時事通信)

[東京 24日 ロイター] - 自民党で経済安全保障の議論を主導する甘利明衆院議員は24日、海外株主に不当な圧力をかけたとされる東芝の問題に言及し、海外アクティビストは経済安保における同社の重要性を理解していないと語った。その上で、海外の「物言う株主」への監視体制を厳格化する必要性を訴えた。

自民党で新国際秩序創造戦略本部座長を務める甘利氏は、原子力や半導体など重要技術を持つ日本企業に海外投資家が出資することについて、安全保障の観点から監視していく必要があると強調。出資後も「日本の安全が脅かされることにならないか、しっかりモニタリングしていく」と述べた。

各国が中国を念頭に外資規制を強化する中、日本は2020年5月に改正外為法を施行した。政府への届け出基準を従来の10%以上から1%に引き下げ、対象業種を大きく広げた。

不正会計問題などで経営危機に陥った東芝は、海外株主の比率が高まり、昨夏の定時株主総会では筆頭株主が社外取締役候補を独自に提案して会社側と対立した。その際、改正外為法を所管する経済産業省と一体となって海外株主の議決権行使に圧力をかけたと指摘され、現在問題となっている。

甘利氏は、重要技術を持つ東芝を経営危機から救ったのが「アクティビスト集団しかいなかったということ自身に問題がある」と指摘。短期的な利益を追求することしか考えていないとし、「日本の経済インテリジェンスにかかる東芝の重要性なんていうのは1ミリも理解していない」と語った。

さらに甘利氏は「経済安全保障という点では日本は極めて遅れている」と話し、一段と強化する必要があるとした。関係省庁の連絡会議などで議論を進めていく考えを示した。「経済界全体で経済インテリジェンスに対する危機意識が、欧米諸国に比べて圧倒的に足りない」とも述べ、日本の経済界に意識改革を促す必要性を訴えた。

(金子かおり、梅川崇 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー

ビジネス

NY外為市場=円急落、日銀が追加利上げ明確に示さず

ビジネス

米国株式市場=続伸、ハイテク株高が消費関連の下落を
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中