ニュース速報

ビジネス

欧州は当面積極財政が必要、財政規律見直しを=オランダ中銀総裁

2021年06月11日(金)23時04分

[フランクフルト 11日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は11日、ユーロ圏各国政府の積極的な財政出動でインフレがようやく上向いたとしながらも、金融政策の対応余力が限られる中、各国が今後数年、積極的な財政出動を続けられるよう新たな財政規律が必要と指摘した。

新型コロナウイルス危機を受け、欧州は財政規律を一時停止し、各国政府は景気支援のため大規模な財政支出を実施してきた。しかし景気の回復に伴い財政規律をいつ、どのように復活させるか議論されている。

クノット総裁は講演で「現在は、インフレ圧力が持続的に増大するより良好な環境にある。ただ、労働市場に大幅なスラック(需給の緩み)がなお存在しているため、いましばらく時間がかかる」と指摘。今年の消費者物価の上昇は一時的なものとの見方を変えていないとしながらも、各国政府の景気支援策が一部要因となり、一部の上向きリスクが見通しに反映されつつあるとの考えを示した。

ただ「現行の低金利環境は長引くとみられ、予見可能な将来にわたってマクロ経済が安定するためには構造的に財政政策がより大きな役割を果たす必要がある」とし、「その枠組みで財政の柔軟性は不可欠な要素で、非常時に発動するかどうかというものではない」と述べた。

新たな枠組みは、欧州連合(EU)の復興基金のようにユーロ圏諸国の財政政策の連携を向上させる必要があり、自動的な安定化機能や緊急措置よりも踏み込んだ柔軟性をもたせなければならないと指摘。ただ、各国政府に財政支出で自由裁量を与えてはならず、債務を持続可能な水準に保ち、支出が生産性を向上させ、最終的に成果が得られるように「強固で信頼できる」ルールが必要になると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係

ワールド

シリア担当の米外交官が突然解任、クルド系武装組織巡

ビジネス

ロシア財務省、石油価格連動の積立制度復活へ 基準価
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中