ニュース速報

ビジネス

トヨタ、電動車シフトを強化 30年に800万台の販売目標

2021年05月12日(水)18時46分

 5月12日、トヨタ自動車は、2030年に電動車の世界販売を約800万台とする計画を発表した。写真は同社のロゴ。上海で4月撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

[東京 12日 ロイター] - トヨタ自動車は世界で脱炭素化への流れが加速する中、ガソリン車から二酸化炭素(CO2)排出量の少ない電動車へのシフトを強化する。同社は12日、2030年に電動車の世界販売を800万台とする目標を発表した。

内訳は、走行中にCO2を出さない電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)で200万台、ハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)で600万台。

従来は25年ごろに電動車販売を550万台以上、うちEVとFCVで100万台以上とする目標を掲げていた。

30年の地域別の電動車販売比率は、欧州で100%、日本で95%、北米では70%と一定量のガソリン車などが残ると想定する。このうちEVとFCVの割合は、日本では10%にとどまり、北米で15%、欧州で40%とみている。中国では政府の規制に基づき、35年に電動車販売比率が100%に達する計画だ。

この日の21年3月期決算説明会で目標を示した。長田准執行役員は「目標を実現するためには180GWhと今の30倍の電力供給量が必要になる」と指摘。EVの生産ラインでは「今の2ラインから30倍の60以上のラインが必要になる」といい、「積極的に投資していく」と述べた。

EVの開発リードタイムも「現状より15%から30%くらい短くしていきたい」とし、「PHV・HVと同じプラットフォームへのEVの共有化も検討し、EVの供給力を高めていきたい」と話した。

前田昌彦執行役員は、20年代前半に実用化を目指す全固体電池に関してはまだ開発途上にあり、「技術的にはまだハードルが高い状況」と説明。「安全性や耐久性をクリアできる段階ではない。それをクリアできるような材料開発に特化している」と述べた。

全固体電池は、現在バッテリーの主流であるリチウムイオン電池よりも安全性やエネルギー密度が高いため次世代電池として期待され、各社が開発を急いでいる。

HVはモーターとCO2の出るガソリンエンジンを併用するため、海外勢を中心にEVを電動車の主力とする動きが進んでいる。ホンダも4月、40年には販売する新車すべてをEVとFCVにし、ガソリン車とHVの販売を止める目標を公表。EV市場には他産業からの参入も相次いでいる。

ただ、日本のように住宅事情から充電スタンドを設置しにくい環境などもあり、トヨタは得意のHVを今後も電動車の主力として位置づけつつ、選択肢を増やして各市場に最適な電動車を投入する。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界の石油市場、26年は大幅な供給過剰に IEA予

ワールド

米中間選挙、民主党員の方が投票に意欲的=ロイター/

ビジネス

ユーロ圏9月の鉱工業生産、予想下回る伸び 独伊は堅

ビジネス

ECB、地政学リスク過小評価に警鐘 銀行規制緩和に
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    「ゴミみたいな感触...」タイタニック博物館で「ある…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中