ニュース速報

ビジネス

FRB当局者、長期金利上昇に動じず 回復支援へ緩和維持強調

2021年03月06日(土)11時36分

米連邦準備理事会(FRB)当局者は5日、最近の米国債利回りの上昇を懸念していないと述べ、今月中旬に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で長期金利の上昇が追加緩和を行う根拠にならないという考えを示した(2021年 ロイター/Leah Millis)

[5日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者は5日、最近の米国債利回りの上昇を懸念していないと述べ、今月中旬に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で長期金利の上昇が追加緩和を行う根拠にならないという考えを示した。

この日は2月の雇用者数の伸びが予想を大幅に上回ったことを受け、10年債利回りが一時1.6%を突破。一部では、FRBが長期債利回りを押し下げるために債券購入プログラムを強化するという見方もある。

ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁はワシントン・ポスト紙のオンラインイベントで、実質金利が上昇すればFRBが対応する必要もあるが、現在はこうしたことは起きていないと指摘。FRBは完全雇用が達成され、インフレ率が2%に達してからも上向く兆候が出るまで現行の超緩和的な金融政策を維持すると表明しているが、国債市場で現在見られている動きは、FRBのこうした新たな枠組みが機能していることを如実に示していると語った。

FRBは昨年夏、物価の一時的な上振れを容認し、雇用の最大化に重点を置いた新戦略の導入に踏み切った。

セントルイス地区連銀のブラード総裁は、シリウスXMラジオのインタビューで、長期債利回りのこのところの上昇は景気見通しの改善を反映していると表明。懸念すべき特定の水準は念頭に置いていないとした上で、米10年債利回りはパンデミック(世界的大流行)が始まる6カ月前の水準に戻っているにすぎず、「まだかなりの低水準にある」と述べた。

また、償還期限が長い国債の買い入れに軸足を傾ける「ツイストオペ」をFRBが近く実施して、国債利回りの上昇を抑制する必要はなく、「現時点でこれ以上ハト派的になる必要はない」と強調した。

<回復になお道のり>

米経済については、新型コロナウイルスワクチンの接種が進み経済が再開されることで、失業率は年末までに4.5%近辺に低下し、経済成長率は6.5%近辺になると予想。ただ、労働市場は「まだ改善の余地が大きい」と述べた。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は2月の雇用統計について、景気回復が正しい方向に向かっていることを示しているものの、経済の現状は完全雇用と物価安定というFRBが担う2つの責務達成に程遠いとの見方を示した。

さらに「政策に関する自分自身の見方に基づくと、回復の裾野を広げるには当面、緩和策を維持する必要がある」と話した。

他にもアトランタ地区連銀のボスティック総裁がスタンフォード大学が主催したオンラインイベントで、「われわれは必要な限り長く、強力に回復を支援する準備があり、その能力もある」と指摘。

「パンデミック危機による長期的な被害を最小限にとどめ、回復が可能な限り広範に、そして包括的になるように、できる限りのことをする必要がある」と述べた。

また、インフレ期待の高まりともみられる国債利回り上昇に対応するためにFRBが行動を起こす必要があるかとの質問には、インフレは今のところ懸念ではないとし、物価上昇の兆候を引き続き監視していくと語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国で「AI基本法」施行、世界初の包括規制法 信頼

ワールド

ウクライナ和平交渉に大きな進展、争点は最後の一つに

ビジネス

英公的部門借入額、12月は予想下回る リーブス財務

ビジネス

東電、柏崎刈羽原発6号機を計画的に停止 
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の核開発にらみ軍事戦略を強化
  • 4
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 5
    飛行機よりラク? ソウル〜釜山「110分」へ――韓国が…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    「怖すぎる...」モルディブで凶暴な魚の群れに「襲撃…
  • 9
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 10
    宇宙人の存在「開示」がもたらす金融黙示録──英中銀…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中