ニュース速報

ビジネス

三菱重がジェット旅客機事業凍結、開発費大幅抑制 納期も未定に

2020年10月30日(金)19時36分

 10月30日、三菱重工業は、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット」(旧MRJ)の事業を凍結すると正式発表した。開発が遅れていたところに新型コロナウイルスが直撃し、顧客である航空会社の業績が悪化、受注は当面見込めないと判断した。写真は都内で2016年5月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 30日 ロイター] - 三菱重工業<7011.T>は30日、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット」(旧MRJ)の事業を凍結すると正式発表した。開発が遅れていたところに新型コロナウイルスが直撃し、顧客である航空会社の業績が悪化、受注は当面見込めないと判断した。開発費は来年度からの3年間累計で200億円とし、過去3年間(3700億円)の20分の1近くに圧縮する。納期も新たに設定しない。開発はいったん止めるが、旅客需要の本格的な回復を24年前後と想定し、再開に向けた事業環境の整備に取り組む。

泉沢清次社長は同日のオンライン会見で、スペースジェットの開発活動は「いったん立ち止まる。飛行試験は見合わせる」と述べた。直近で21年度以降としていた納期についても「新たに設定していない」と話した。ただ、商業運航に必要な「型式証明」の取得に向けた文書作成作業は続けるという。

泉沢社長はまた、ステークホルダー(利害関係者)の支援を得ながら、開発が長期に及び、さらに立ち止まるという判断をしたことについて「たいへん申し訳ない」と陳謝。その上で「つどつどの判断は適切に議論し、進め方を決めていると理解している。誰か特定の個人に責任を課すというものではない」とも語った。顧客には「今回の決定をご説明し、今後どう進めていくかについては誠意をもってご相談させていただく」と話した。

開発凍結の発表を受け、初号機の納入を受ける全日本空輸の親会社ANAホールディングス<9202.T>の広報は「詳細内容を確認し、引き続き情報をいただきながら今後の計画を精査していく」とコメント。納入先の1社、日本航空<9201.T>の菊山英樹専務執行役員も同日の決算会見で「(三菱重の)計画などを伺いながら(日航の)計画を練っていく」と述べた。

スペースジェットは08年に事業化が決まり、三菱重の子会社、三菱航空機(愛知県豊山町)が開発を主導。まずは90席クラスの事業化を目指し、当初は13年の納入開始を予定していた。ただ、設計変更などにより納期を6度延期、これまでの開発費用は総額1兆円規模に上る。

スペースジェットを含む民間航空機・石炭火力・商船の各事業の縮小を見込み、国内では23年度までに3000人規模の人員調整を行う。まずは社内での再配置を実施し、外部企業への出向も検討している。泉沢社長は「社員の雇用確保を第一に考え、希望退職を募る計画はない」とした。一方、海外では2000人規模の人員削減をすでに実施した。

同時に発表した9月中間連結決算(国際会計基準)は、純損益が570億円の最終赤字だった。23年度の連結売上高は20年度見込み比で約8%増の4兆円を計画。20年度に1%を見込んでいる事業利益率は7%への改善を目指す。エナジーとモビリティなどの新たな成長領域に1800億円を投じ、売上高1000億円規模の新事業を創出する。

(白木真紀 編集:田中志保)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=総じて下落、イランとの協議巡る楽観論

ワールド

米、対キューバ政策に変更なし 制裁対象のロ船籍の燃

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで上昇、介入警戒感が下支え

ビジネス

FRB政策「良好な位置」、異例の局面に対応可能=N
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中