ニュース速報

ビジネス

英政策金利、0.1%が下限と認識=ラムスデン副総裁

2020年09月28日(月)23時38分

イングランド銀行(英中銀)のラムスデン副総裁は、政策金利の下限は0.1%との認識を示す一方で、マイナス金利が可能かどうか検討するのが英中銀の義務だと述べた。ロンドンの銀行前で8月撮影。(2020年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 28日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)のラムスデン副総裁は、政策金利の下限は0.1%との認識を示す一方で、マイナス金利が可能かどうか検討するのが英中銀の義務だと述べた。英ソサイエティ・オブ・プロフェッショナル・エコノミスツ(SPE)のウェブサイトに同氏のインタビューが掲載された。

ラムスデン副総裁は「私としては、現時点で政策金利は依然0.1%が実質的な下限とみている」と述べた。

英中銀は今月、必要であればマイナス金利をどのように導入できるか検討する姿勢を示した。8月には、マイナス金利は政策手段の一つとの認識を示している。

テンレイロ金融政策委員は、26日付の英紙インタビューで、マイナス金利が景気支援に有効かどうかを巡る検証で「勇気付けられる証拠」が集まったと語った。

ラムスデン副総裁はSPEとのインタビューで、マイナス金利がユーロ圏や日本よりも効果的とみられる地域がいくつかあるとしたものの、マイナス金利政策の有用性は景気サイクルと銀行システムの構造に依存すると指摘。マイナス金利が導入されても家計の銀行預金に対する金利はゼロ%を下回る傾向はないため、銀行の負担が増大する可能性があると同時に、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて融資の回収が難しくなる恐れがあることも英国の銀行に対する打撃となると述べた。

欧州中央銀行(ECB)は景気回復期にマイナス金利政策を導入したが、英国は現在景気サイクルの異なる時期にあることになる。

ラムスデン副総裁は、英中銀は急いでマイナス金利を導入するつもりはなく、それを想定した銀行への対応には時間を要するとの認識を示した。

英経済については、直近の中銀の予想よりも先行きは厳しいと認識。「失業率をとってみると、ピークは7.5%弱でなく上回る可能性のほうが大きく、より緩やかにしか低下しないとみられる」と述べた。

英国立統計局(ONS)によると、5─7月の失業率(ILO方式)は4.1%と、4─6月の3.9%から上昇した。政府の雇用維持制度が10月末に終了することになっており、今後雇用情勢が厳しさを増すと予想される。

ラムスデン副総裁の発言を受け、外国為替市場では英ポンドが対ドルと対ユーロで上げ幅を拡大した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、ウ和平交渉で立場見直し示唆 トランプ氏

ワールド

ロ、ウ軍のプーチン氏公邸攻撃試みを非難 ゼレンスキ

ワールド

中国のデジタル人民元、26年から利子付きに 国営放

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、11月は3.3%上昇 約3年
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中