ニュース速報

ビジネス

アングル:2000ドル突破の金、長期上昇トレンド継続へ

2020年08月05日(水)12時14分

8月4日、金価格が4日時点で、1オンス=2000ドル(約21万円)の大台を目前に足踏みしている。写真は2019年8月、独ミュンヘンの金取り扱い業者保管庫で撮影(2020年 ロイター/Michael Dalder)

[ロンドン 4日 ロイター] - 金価格が4日時点で、1オンス=2000ドル(約21万円)の大台を目前に足踏みしている。その一因は強力な抵抗線にぶつかったことだが、最終的にはこれを突破し、さらに高値更新を続ける公算が大きい、というのがチャート分析の専門家の見方だ。(編集注:5日のアジア時間で一時、2030ドルまで上昇し最高値を更新した)

今年に入って金は約30%も高騰している。各資産クラスを見渡しても、値動きはトップクラスに入る。新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に悪影響を及ぼす中で、他の資産よりも堅調を維持するのが金だとみられたため、買いを集めている。

実際、主要中央銀行の金融緩和で米国債の実質利回りが過去最低を更新し、利回りゼロの金が相対的に魅力が増した。またドルの急落を受け、外国人にとってドル建ての金が割安化した面もある。

もっとも2000ドルというのは重要な心理的抵抗線。コメルツ銀行のテクニカルアナリスト、カレン・ジョーンズ氏は月末か、もっと良いのは四半期末の終値が同水準を上回って初めて、上振れが示唆されると述べている。

足元までの値上がりペースが非常に急速だったため、目先、荒っぽい動きが予想されるとの声も聞かれる。

下値に関しては、最初の支持線は20日移動平均の1875ドル前後と、4カ月にわたる上昇の起点になった1830ドル付近だ。独立系テクニカルアナリストでかつてノムラとRBSに在籍したトム・ペルク氏は、それを割り込むともっと強固な支持線として20週移動平均の1755ドルが存在すると述べた。

元UBSの別の独立系テクニカルアナリスト、リチャード・アドコック氏によると、調整によってボラティリティー面が改善するので長期トレンドに変化は生じず、市場参加者が想定するよりも価格の上昇が続いていくことは可能だという。

当面の上値のめどは、フィボナッチエクステンション(フィボナッチ数列に基づいて押し目と戻り目からどこまで価格が上がるかを予測する手法)が示してくれる。ペルク氏の見立てでは、2067ドルが第1の、2286ドルがその次の節目だ。

だがこれは数年続く上昇の単なる始まりであってもおかしくない。ペルク氏は、フィボナッチ数列とは別のリュカ数列で分析した結果、4-5年以内に3598.80ドルまで跳ね上がる可能性があると明らかにした。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ全域で通信遮断、イスラエル軍の地上作戦拡大の兆

ワールド

トランプ氏、プーチン氏に「失望」 英首相とウクライ

ワールド

インフレ対応で経済成長を意図的に抑制、景気後退は遠

ビジネス

FRB利下げ「良い第一歩」、幅広い合意= ハセット
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 8
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 10
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中