ニュース速報

ビジネス

新型コロナで農産物価格急落も、国連機関など「ショック」警告

2020年07月17日(金)02時00分

国連食糧農業機関(FAO)と経済協力開発機構(OECD)は16日、新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済が景気後退に陥る中、食糧消費の減少が農産物価格の急落という「市場ショック」を引き起こす恐れがあるとの見解を示した。オクラホマ州ベシーで昨年6月撮影(2020年 ロイター/NICK OXFORD)

[パリ 16日 ロイター] - 国連食糧農業機関(FAO)と経済協力開発機構(OECD)は16日、新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済が景気後退(リセッション)に陥る中、食糧消費の減少が農産物価格の急落という「市場ショック」を引き起こす恐れがあるとの見解を示した。

新型コロナ危機の中でも食糧生産量は総じて安定しており、農産物市場では在庫が過剰に積み上がり、相場が下がる恐れがあると指摘。

「新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が引き起こしたマクロ的な経済ショックにより、農産物の価格に押し下げ圧力がかかるとみられる」とし、今年は「歴史的に大きな市場ショック」が起きる可能性があると懸念した。

植物油と動物由来の産品の方が、米や小麦などの主要生産物よりも打撃が大きいとした。

今回の見通しは、OECDとFAOが公表した2020─2029年の農業見通しの一部で、新型コロナが農産物市場に与え得る影響について両機関が分析を公表するのは初めて。

新型コロナはすでに農産物を押し下げる要因となっている。レストランが営業を停止して燃油消費が減る中、米トウモロコシ価格は10年ぶりの安値に落ち込んだ。

封鎖措置が緩和される中で一部の商品価格はここ数週間で持ち直したが、FAOとOECDは短期的な見通しは依然不透明だと警告した。

OECDのグリア事務総長はオンラインで実施した記者会見で、「市場は最初のショックをうまく乗り切った」とする一方で、「発展途上国でウイルスが拡大する中では、気を緩める余裕はない」と語った。

新型コロナの影響で不透明感が漂うものの、OECDとFAOは20─29年の農産物価格について、実質ベースで小幅に下落する基本シナリオに徐々に戻るとの見方を示した。

市場が中国のアフリカ豚熱(ASF)のまん延から持ち直す中で、豚肉を中心とした食肉価格はより大きく下落するとみられるという。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ノーベル平和賞マチャド氏、授賞式間に合わず 「自由

ワールド

ベネズエラ沖の麻薬船攻撃、米国民の約半数が反対=世

ワールド

韓国大統領、宗教団体と政治家の関係巡り調査指示

ビジネス

エアバス、受注数で6年ぶりボーイング下回る可能性=
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 3
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 4
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡…
  • 5
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中