ニュース速報

ビジネス

アジア株式市場サマリー:引け(16日)

2020年07月16日(木)20時09分

[16日 ロイター] - 東南アジア株式はまちまちで引けた。タイではウッタマ財務相らの閣僚辞任を受け、バンコク市場のSET指数は0.48%安。今回の辞任は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に伴う不安定な経済を支えるため、タイ政府が58億ドル規模の経済刺激策を実施すると決めたタイミングで起きた。投資家もタイ中央銀行の次期総裁が誰になるのか注目していた時だった。

プラユット首相は、来月までに内閣改造を行う考えを示した。以前は、9月になると話していた。英スタンダード・チャータード銀行のエコノミストは「政治的な雑音は、消費者や企業のセンチメントにとって良い前兆ではない」と指摘した。

マニラ市場では優良株に買いが集まった。主要株価指数PSEiは2.18%高で引けた。前日は急落していた。ホテル開発などを手掛けるブルームベリー・リゾーツが12.48%高、ファースト・ジェンが6.28%高、不動産のメガワールド・コープが5.33%高。

中国株式市場は大幅続落し、CSI300指数の下げ幅は5カ月強ぶり大きさとなった。第2・四半期の国内総生産(GDP)が市場予想を上回り、政策引き締められるとの見方から売りが加速した。

上海総合指数<.SSEC>終値は151.2058ポイント(4.50%)安の3210.0986。

上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数<.CSI300>終値は228.216ポイント(4.81%)安の4516.253。2月3日以来の大幅な下落となった。

深セン証券取引所の新興企業向け市場「創業板(チャイネクスト)」総合指数<.CNT>は5.9%安とこちらも下落率が2月3日以来の大きさだった。

アナリストによると、中国株は景気回復を織り込み過去2週間で急伸したことから投資家は利益確定に動いた。外国人投資家も米中関係の悪化を懸念して売りに回ったという。

DBS銀行のエコノミスト、ネイサン・チョウ氏は「今後も景気を下支えするが政策が取られるが、過去数カ月の強力な信用の伸びや最近の(株式)市場の急上昇を踏まえて(金融)緩和ペースは緩やかになる可能性がある」との見方を示した。

中国銀河証券のアナリスト、フー・ヤンピン氏は中国の金融政策について、緩和の方向は変わらないが、わずかに引き締めが行われていると述べた。

中国政府系のファンドや大株主による企業への出資比率引き下げや、中国本土と香港の相互取引を通じた大規模な資金流出も地合いの悪化につながったという。

また西部証券のアナリストは違法な信用取引の摘発など、株式市場へのホットマネーの流入を抑制するための取り組みを強化する兆候が見られると指摘した。

香港株式市場も大幅下落。中国の政策引き締めへの懸念で約1カ月ぶりの大幅下落となった。

ハンセン指数<.HSI>終値は510.89ポイント(2.00%)安の2万4970.69。

ハンセン中国企業株指数(H株指数)<.HSCE>終値は256.62ポイント(2.47%)安の1万0133.92。

シドニー株式市場は反落して引けた。オーストラリア国内の失業率が悪化し、22年ぶりの高水準となったことが嫌気された。また、一部の州では新型コロナウイルス感染者数が増加しており、さらに急増する可能性が高くなったことが材料視された。

豪統計局が発表した6月の失業率は7.4%となり、5月の7.1%から上昇した。1998年11月以来の高水準。労働者が再就職の際、正規雇用の仕事を見つけられない状況にあることが背景にある。

ANZの上級エコノミスト、キャサリン・バーチ氏は顧客向けノートで「国全体の雇用回復は想定よりも遅くなる可能性がある。消費者と企業の景況感は下落し、需要はより脆弱(ぜいじゃく)で、企業も雇用に対してより慎重になっている」と分析。さらに「メルボルンの労働者は最悪だと感じているだろう。ビクトリア州も影響を受けるだろう」と指摘した。

もし感染拡大を早急に抑えることができなければ、人口の多いニューサウスウェールズ州とビクトリア州では、より厳格な制限措置を実施される見通し。

 産金株指数<.AXGD>は金価格の下落を受け1.6%安。ダシアン・ゴールドが6.1%安、エメラルド・リソーシズが4.9%安だった。

ソウル株式市場は反落して引けた。米中対立の激化や中国の経済指標が弱い内容だったことが響いた。一方、韓国銀行(中央銀行)は政策金利を据え置いた。  

ポンペオ米国務長官は15日、米政府は中国企業に対してビザ(査証)制限を実施すると表明した。トランプ政権は短編動画アプリ「TikTok(ティックトック)」や中国版LINE「微信(ウィーチャット)」が安全保障上のリスクだとして、制裁を実施するとみられている。  

中国国家統計局の発表によると、年初に低迷した中国の経済成長は4─6月期に回復した。しかし、国内消費や投資は引き続き弱い状況で、一段の政策支援が必要であることを明確にした。  

韓国銀行は政策金利の据え置きを決めた。据え置きは市場の予想通り。当局が不動産価格の過熱抑制に動く中、追加の刺激策は見送られた。

外国人投資家は1333億ウォン(約1億1058万ドル)相当の売り越し。  

出来高は7億7482万株。取引された901銘柄のうち、403銘柄が上昇した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBが3会合連続で0.25%利下げ、反対3票 緩

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRBに十分な利下げ余地、追加措置必要の可能性も=

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中