ニュース速報

ビジネス

機械受注5月は予想外のプラス転換、非製造業で底堅さも水準は低く

2020年07月09日(木)10時17分

 7月9日、内閣府が発表した5月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比1.7%増の7650億円となった。3カ月ぶりの増加。写真は新型コロナウイルスの感染予防をしながら操業を再開した自動車工場。5月18日、神奈川県川崎市で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 9日 ロイター] - 内閣府が9日に発表した5月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、減少予測を覆して前月比1.7%増となった。3カ月ぶりの増加。非製造業が2桁プラスとなったことが全体を押し上げる要因となった。ただ、受注額水準はまだ非常に低く、内閣府は機械受注の判断を「足元は弱含んでいる」で据え置いた。

機械受注は4月に同12%減と大幅に落ち込んだ後、5月は事前予測調査で前月に続き減少と予測されていたが、増加に転じる結果となった。新型コロナウイルス感染症の影響による業績悪化や先行き不透明感が要因となっている中で、非製造業で前月の20%台の減少から一転17.7%の増加となった。

内閣府によると、5月は非製造業で運輸業からの鉄道車両を中心に「底堅く受注が入った」という。このほか、通信業や金融業などからのコンピューターの受注も好調だった。

一方で、製造業は4カ月連続の減少で15.5%減。自動車関連や一般機械などの主要業種からの受注がさえない。

もっとも、全体として受注額の水準は回復には程遠い。5月の受注額は7650億円だが、3月までは各月8000億円以上の水準で推移していた。1─3月の四半期ベースの受注額に比べると、4─5月の平均は1割程度下回っている。前年同月と比べても5月は16.3%減だった。

内閣府が公表している4━6月期の見通しは前期比0.9%減と4四半期連続で減少する見込みで、当面設備投資も停滞感が予想される。

農林中金総合研究所の南武志・主席研究員は「新たな日常」が常態化していく中では需要回復も限定的とならざるを得ず、「今後とも資金繰りが厳しい状態が続くほか、供給能力の過剰感が意識されるものと思われ、年度下期にかけても設備投資の低調な状態が残るだろう」とみている

*内容を追加しました

*内閣府の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/menu_juchu.html

※過去の関連記事は[JPMORD=ECI]をダブルクリックしてご覧下さい。

(中川泉 グラフ作成・編集:田中志保)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と

ワールド

米長官らスイス到着、ウクライナ和平案協議へ 欧州も

ワールド

台湾巡る日本の発言は衝撃的、一線を越えた=中国外相

ワールド

中国、台湾への干渉・日本の軍国主義台頭を容認せず=
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 7
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 8
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中