ニュース速報

ビジネス

HSBCとスタンチャート、香港安全法を支持 政治的中立破る

2020年06月04日(木)04時02分

英金融大手のHSBCホールディングスとスタンダード・チャータードは、中国が制定方針を採択した「香港国家安全法」に支持を表明した。シンガポールで2017年9月撮影(2019年 ロイター/Edgar Su)

[香港/ロンドン 3日 ロイター] - 英金融大手のHSBCホールディングスとスタンダード・チャータード(スタンチャート)は、中国が制定方針を採択した「香港国家安全法」に支持を表明した。これまで維持してきた政治的な中立性を破った格好となった。

中国全国人民代表大会(全人代)は5月28日に香港国家安全法の制定方針を圧倒的賛成多数で採択。これを受け、トランプ米大統領が香港に対する優遇措置の撤廃を表明するなど波紋が広がっている。

HSBCは、 アジア太平洋部門の王冬勝(ピーター・ウォン)最高経営責任者(CEO)が香港国家安全法を支持する文書に署名したことを明らかにした上で、HSBCは「香港の社会秩序の安定化に向けたあらゆる法律を尊重し支持する」とした。

王氏は中国人民政治協商会議(CPPCC)のメンバー。中国国営新華社のインタビューに対し、香港国家安全法で香港に安定がもたらされることを望んでいると述べた。

スタンチャートは、香港国家安全法は「香港の長期的な経済、社会的な安定維持の一助になる」との見解を示した。

HSBCは香港に起源を持つが、1993年に本社をロンドンに移転。ただ現在でも香港が同行にとり最大の市場となっているほか、中国に多額の投資を実施している。スタンチャートも本拠はロンドンに置いているが、アジア事業の比重は大きい。

キルター・シェビオットのアナリスト、ウィル・ハウレット氏は「米国は香港はもはや中国から自由ではないと見なしており、HSBCの王氏による香港国家安全法の支持表明を受け、HSBCが政争の具に利用されるリスクが出てきた」と述べた。

1997年に香港を中国に返還した英国は、香港国家安全法は「権威主義的」だとし、香港返還を巡る1984年の中英共同宣言に基づく「一国二制度」に違反するとの立場を示している。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英アングロ、BHPの買収提案拒否 「事業価値を過小

ビジネス

為替、基調的物価に無視できない影響なら政策の判断材

ビジネス

仏レミー・コアントロー、1─3月売上高が予想上回る

ビジネス

ドルは156.56円までさらに上昇、日銀総裁会見中
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中