ニュース速報

ビジネス

香港、新型肺炎やデモ受け景気対策150億米ドル 財政赤字過去最大に

2020年02月26日(水)15時51分

 2月26日、香港の陳茂波(ポール・チャン)財政官は、1200億香港ドル(150億米ドル)規模の景気対策を盛り込んだ2020/21年度予算案を発表した。写真は香港で24日撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

[香港 26日 ロイター] - 香港の陳茂波(ポール・チャン)財政官は26日、1200億香港ドル(150億米ドル)規模の景気対策を盛り込んだ2020/21年度(21年3月まで)予算案を発表した。財政出動と歳入の減少で、同年度は財政赤字が過去最大に膨らむと予想した。

香港は新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大や民主派デモの影響で経済が圧迫されている。

景気対策には18歳以上の永住者を対象にした1万香港ドルの給付金や企業への税軽減策、その他の補助金が含まれる。

19/20年度の財政収支は378億香港ドル(48億5000万米ドル)の赤字と、15年ぶりの赤字を見込む。対域内総生産(GDP)比は1.3%程度。陳氏は、赤字が向こう5年続くと予想した。

民生派デモの市民生活への悪影響を和らげるために実施した総額300億香港ドル強の給付金や、過去数週間で発表された新型コロナウイルス対策としての保健当局や中小企業、低所得者世帯への300億香港ドルの支援策が財政を圧迫した。

陳氏は、デモは香港経済に打撃を与えただけでなく、市民の心理的負担になったと指摘。「事態の収拾がつく前に新型コロナウイルス感染拡大という予想外の状況が発生した。感染の予防と封じ込めが最優先課題だ」と強調した。

20/21年度の財政赤字は1391億香港ドルに膨らむと予想。GDP比率は4.8%で、名目ベースで過去最大を記録する見通し。ANZのアナリストによると、重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響でリセッション(景気後退)に陥った2003/04年度は財政赤字のGDP比が5.3%だった。

陳氏は、現金給付は例外的な措置で、長期的に財政の負担にはならないと述べた。

アナリストは、新型コロナウイルス流行が第1・四半期の香港GDP成長率を1─2%ポイント押し下げると予想する。2020年通年では、感染の拡大度合いによっては、19年の1.2%よりも大幅なマイナス成長になる可能性があるとみている。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ紛争は26年に終結、ロシア人の過半数が想

ワールド

米大使召喚は中ロの影響力拡大許す、民主議員がトラン

ワールド

ハマスが停戦違反と非難、ネタニヤフ首相 報復表明

ビジネス

ナイキ株5%高、アップルCEOが約300万ドル相当
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    【投資信託】オルカンだけでいいの? 2025年の人気ラ…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中