ニュース速報

ビジネス

日銀、20年度物価見通し下方修正の必要性も議論へ=関係筋

2018年07月13日(金)16時58分

 7月13日、日銀は30、31日の金融政策決定会合に向けて、鈍い物価上昇の要因分析を進めている。写真は都内の日銀本店、2016年3月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 13日 ロイター] - 日銀は30、31日の金融政策決定会合に向けて、鈍い物価上昇の要因分析を進めている。その中で新たに示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、見通し期間の最終年度である2020年度物価見通しも、下方修正の必要性について議論される可能性が高まっている。複数の関係筋が明らかにした。

足元の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)は、4、5月に前年比0.7%上昇までプラス幅が縮小するなど日銀の想定を下回って推移している。人手不足を中心とした日本経済の需給の引き締まりにもかかわらず、物価がなかなか上がらない要因について、日銀は集中的に分析を進めており、7月展望リポートで結果を明らかにする方向だ。

これまでの展望リポートでも、物価上昇の力が鈍い背景について、1)長く続いたデフレ経済の影響で、企業や家計のデフレマインドが根強く残っている、2)企業が省力化投資や過剰サービスの見直しなど生産性の向上によって、賃金コストの上昇を吸収している──などを挙げている。

こうした点に加え、日銀はインターネットを介した通信販売の拡大のほか、女性や高齢者を中心とした労働参加率の高まりなども、物価を抑制している要因として意識している。

一方、日銀内には足元の物価低迷は、年前半の円高・株安など一時的な要因が影響している可能性があるとの指摘もある。

ただ、時間の経過とともに低減するとみていたデフレマインドや生産性向上によるコスト吸収など物価押し上げを抑制する効果が、想定以上に長く存在し、企業の賃金・価格設定行動に大きな変化がみられていないとの見方も出ている。

このため、実際の物価動向の影響を受けやすく、物価2%の実現に不可欠なインフレ期待の高まりも、後ずれが避けられない情勢との見方が多くなってきた。

4月の展望リポートでは、コアCPI見通しについて18年度を前年比1.3%上昇(政策委員の大勢見通しの中央値)、19、20年度ともに同1.8%上昇(同)としたが、18、19年度は引き下げざるを得ないとの声が多い。

一方、20年度をめぐっては、19年度の見通し引き下げの影響を受け、小幅引き下げと、見通しを維持する声が混在しているようだ。

見通し期間の最終年度となる20年度の物価見通しを引き下げた場合、物価2%目標の実現に懐疑的な見方が金融・資本市場でさらに広がる可能性がある。それでも、景気拡大が続く中で、日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差である需給ギャップの改善を柱とした物価上昇の「モメンタム」(勢い)は維持されており、20年度の見通しを小幅引き下げても物価が2%に向かっていく姿は描けるとの見方が日銀内では多いもよう。

4月の展望リポートでは、それまで明記し続けてきた物価2%目標の達成時期を削除しており、物価見通しの下方修正によって達成期限にこだわらない日銀の姿勢が、より鮮明になる。

一方、さらなる金融緩和の長期化が意識され、金融機関収益や市場機能への影響など副作用に対する懸念が、市場で一段と強まる可能性もある。

(伊藤純夫 梅川崇 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ワールド

米共和党予備選、注目州のウィスコンシンとミネソタで

ワールド

トルコ裁判所、米国人牧師の釈放を拒否=弁護士

ビジネス

中国の成長目標、貿易戦争あっても確実に達成 債務抑

ワールド

マルタに難民救助船が寄港へ、EU5カ国が難民受け入

MAGAZINE

特集:奇才モーリー・ロバートソンの国際情勢入門

2018-8・14号(8/ 7発売)

日本とアメリカ、世界の知られざる針路は── 異能のジャーナリストによるホンネの国際情勢解説

※次号は8/21(火)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    亡くなった人の気配を感じたら......食べて、寝て、遊べばいい

  • 2

    死後世界も霊魂もないなら何をしてもいい──を実行した人がいた

  • 3

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 4

    子供の亡骸を16日間も離さない母シャチの悲嘆「もう…

  • 5

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 6

    中国大手32社が「不審死&経営難」海南航空と同じ運…

  • 7

    「トランプが大豆産業を壊滅させた」──悲鳴を上げる…

  • 8

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、…

  • 9

    「俺たちが独り身の理由」、米版2ちゃんで聞いた結果

  • 10

    サーモンを愛する「寿司男」から1.7mのサナダムシ発見

  • 1

    子供の亡骸を16日間も離さない母シャチの悲嘆「もう見ていられない」と研究者

  • 2

    ウェスト81センチの巨漢ネコ、パーフェクトボディ目指し監視下に置かれる

  • 3

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは

  • 4

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 5

    亡くなった人の気配を感じたら......食べて、寝て、…

  • 6

    イルカとクジラのハイブリッドを確認、世界初

  • 7

    「乱交」で種の境界を乗り越えるサル

  • 8

    人類史上最も残虐な処刑は「首吊り、内臓えぐり、仕…

  • 9

    「いっそ戦争でも起きれば」北朝鮮国内で不気味な世…

  • 10

    サーモンを愛する「寿司男」から1.7mのサナダムシ発見

  • 1

    アマゾンのジャングルに1人暮らす文明と接触のない部族の映像を初公開

  • 2

    子供の亡骸を16日間も離さない母シャチの悲嘆「もう見ていられない」と研究者

  • 3

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは

  • 4

    人類史上最も残虐な処刑は「首吊り、内臓えぐり、仕…

  • 5

    インドの性犯罪者が野放しになる訳

  • 6

    怒りの僧侶、高野山への外国人観光客にナナメ上の対…

  • 7

    「何か来るにゃ...」 大阪地震の瞬間の猫動画に海外…

  • 8

    「家賃は体で」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

  • 9

    イルカとクジラのハイブリッドを確認、世界初

  • 10

    実在した...アレクサに怒鳴る男 絶対にお断りした方…

資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
メディアプロモーション局アルバイト募集
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版

特別編集 ジュラシックパークシリーズ完全ガイド

絶賛発売中!