ニュース速報

ビジネス

アングル:FRB、2月雇用統計で利上げ加速は遠のいたか

2018年03月13日(火)08時30分

 3月9日、米労働省が発表した2月雇用統計は、非農業部門雇用が前月比31万3000人の大幅増となり、労働参加率が上昇した半面、賃金上昇圧力は引き続き弱かった。写真はFRB本部。ワシントンで昨年5月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

[ワシントン 9日 ロイター] - 米労働省が9日発表した2月雇用統計は、非農業部門雇用が前月比31万3000人の大幅増となり、労働参加率が上昇した半面、賃金上昇圧力は引き続き弱かった。こうしたデータは、連邦準備理事会(FRB)内にあった米国は労働力が枯渇しつつあるとの疑念を払しょくした可能性がある。

まさに今回の雇用統計は、賃金が跳ね上がって物価が上振れるのではないかとの懸念を後退させ、米経済がまだ新規雇用を生み出せることを示唆している。

シンクタンクの経済政策研究センター(CEPR)のシニアエコノミスト、ディーン・ベーカー氏は「雇用統計は、労働市場の外にはまだ多くの労働力が存在しており、堅調な市場に反応して今後復帰するだろうという見方に沿った内容だ」と話した。

こうした結果を受け、FRBによる今月の利上げは一段と確実になったとはいえ、FRB内では将来の利上げペースは緩やかにとどめるのが妥当という判断への支持もさらに強まりそうだ。

インディード・ドット・コムのチーフエコノミスト、ジェド・コルコ氏は、2月の雇用増加について、気温低下やインフルエンザの流行に影響を受けた1月の反動という面はあったかもしれないにしても、「著しい力強さ」だったと評価。ブルーカラー部門がけん引し、製造業は今や経済全体をしのぐ拡大ペースになっていると付け加えた。

失業率は4.1%で横ばい。就業者数が増えた一方で、労働市場への新規参入も多くなったからだ。このため労働参加率は0.3%ポイント上がって63%になった。

まだ約670万人は失業している。しかし過去1年間で、働く意欲があるのに適切な仕事が見つからないからと職探しをあきらめた人の数は、30%近く減って37万3000人になった。

CEPRのベーカー氏は、労働参加率の上昇が、労働力人口の中核であるプライムエイジ(25─54歳)に集中していると指摘した。プライムエイジはこれまで労働市場への参加が鈍く、エコノミストや政治家にとって大きな懸念要素になっていた。

ベーカー氏は「これは労働市場になお相当なスラック(需給の緩み)があり、FRBが(利上げを)急ぐ理由が乏しいことを意味している」と話した。

FRBが注目している平均時給の前年比上昇率は2.6%にとどまり、経済政策研究所(EPI)のシニアエコノミストのエリス・グールド氏は「期待外れだ。完全雇用を宣言するのは引き続き時期尚早と言える」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「高市ラリー」再開か、解散検討報道で思惑

ビジネス

トランプ米大統領、クレジットカード金利に10%の上

ビジネス

関税返還となった場合でも米財務省には十分な資金=ベ

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米雇用統計予想下回る 円は
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 6
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 7
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 8
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 6
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中