ニュース速報

ビジネス

中国の1月輸出11.2%減・輸入18.8%減 予想大幅に下回る

2016年02月15日(月)16時00分

 2月15日、中国税関当局が公表したデータによると、1月のドル建輸出は前年同月比11.2%減とロイターがまとめた予想(1.9%減)を大きく下回った。写真は北京で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[北京 15日 ロイター] - 中国税関総署が15日公表したデータによると、1月の輸出は前年同月比11.2%減、輸入は18.8%減少で、ともにロイターがまとめた予想を大きく下回った。内外の需要低迷が背景で、景気減速と市場の動揺に対する政府措置を促す内容だった。

減少は輸出が7カ月連続、輸入は15カ月連続。

ロイターがまとめた予想は、輸出が1.9%減、輸入は0.8%減だった。

貿易黒字は過去最高の633億ドルで予想(588億5000万ドル)を上回った。12月は600億9000万ドルだった。

輸出は、政府が昨年8月以来対ドルで約6%の人民元安を容認しているにもかかわらず減少した。海外の需要の深さをあらためて浮き彫りにした。

ANZのエコノミスト、劉利剛氏およびルイス・ラム氏はリサーチノートで「全体として、1月の貿易急減は外需低迷の反映とみている。特に韓国や台湾といった近隣国・地域向けの輸出が低迷した」と指摘した。

13日の報道によると、中国人民銀行の周小川総裁は「財新」のインタビューで、人民元の基本的な安定維持の方針を示した上で、投機筋に市場のセンチメントを主導させるべきではないと強調した。

李克強首相は、政府は元安により輸出促進をはかるつもりはないと述べているが、一部の政策顧問は一段の元安を求めている。

コメルツ銀行(シンガポール)のシニアエコノミストは「きょうの数字は、人民元が依然下落圧力にさらされていることを示している。最近のオンショアとオフショアの人民元高は、投機取引抑制に向けた人民銀行の取り組みによるところが大きい」と指摘した。

<見通しは不透明>

輸出先でみると、最大の市場である米国向けはドル建てで前年同月比9.9%減少、対欧州連合(EU)では12%減少した。

税関当局は、輸出の下押し圧力は第2・四半期から改善するとみている。

商務省のある関係者は、政府は今年の貿易目標は設定しないと述べた。

一部のアナリストは1月の貿易統計について、対香港で大きく振れていることから、人民元投機を隠すために使われることが多い偽装送り状によってさらにゆがめられた可能性があるとみている。12月の貿易の落ち込みは予想より大幅に小さかったが、偽装取引が一因だった可能性があるとされている。

税関当局のデータによると、香港の中国本土への輸出はドル建てで前年比2.6%減だったのに対し、輸入は108.1%増だった。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル北部の警報サイレンは誤作動、軍が発表

ワールド

イスファハン州内の核施設に被害なし=イラン国営テレ

ワールド

情報BOX:イランはどこまで核兵器製造に近づいたか

ビジネス

マイクロソフトのオープンAI出資、EUが競争法違反
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中