ニュース速報

ファーストリテ、今期営業最高益へ 韓国事業の戦略変更は考えず

2019年10月10日(木)18時19分

[東京 10日 ロイター] - ファーストリテイリング<9983.T>は10日、2020年8月期の連結営業利益(国際会計基準、IFRS)が前年比6.7%増の2750億円を見込んでいると発表した。国内外のユニクロ事業が好調で、過去最高益を更新する。日韓関係の悪化により苦戦している韓国事業については、柳井正会長兼社長が、戦略の変更はないとの考えを示した。

リフィニティブがまとめたアナリスト14人による営業利益予想の平均値は2978億円で、会社計画はこれを下回った。

海外ユニクロ事業は、円高が業績を約5%押し下げ1桁の増収にとどまる。ただ、為替影響を除くと、増収ペースは14.5%伸びた前年と同水準だという。

海外ユニクロ事業の新規出店は168店、純増は141店を計画している。グレーターチャイナ(中国大陸・香港・台湾)では100店舗の出店、東南アジア・オセアニアも40店舗の出店を見込んでいる。

今月ニューデリーにインド1号店を出店、今秋には2店舗を計画している。柳井社長は「インドには13億人の人口があり、平均年齢は27歳と若く、飛躍的な成長が期待できる」と述べ、今後の拡大に期待を示した。また、12月上旬にはベトナムに1号店を出店する予定。

不買運動などの影響を受けた韓国事業は「7月から現在に至るまで、非常に厳しい状況」(岡崎健グループ上席執行役員CFO)で、今期は大幅な減収減益を余儀なくされる見通し。

ただ、柳井社長は、韓国事業の戦略変更の有無を問われ「全く考えていない」としたほか、先行きについても「その国の国民のために良い服を元気よく明るく提供する。ずっと続くことはない。楽観的に考えたい」と述べた。

19年8月末の韓国での店舗数は188店となっている。

一方、前期に赤字幅が縮小した米国事業は通期での黒字化を見込む。

国内ユニクロ事業は2桁の増益を計画。既存店売上高は前年比2.5%増、そのうちEコマースは約30%増を見込んでいる。これによりECの構成比は11%超となる見通し。ジーユー事業も増収増益を見込む。

10月からの消費増税の影響について、岡崎CFOは「若干駆け込み需要はあったが大きな影響を受けるものではなかった。景気への影響はこれから見極めるが、消費環境は非常に厳しい」と述べた。

また、こうした状況下での価格戦略については「増税で価格をどうこうは考えていない」(岡崎CFO)とした。

<海外ユニクロ、売上収益1兆円超え>

2019年8月期の売上収益は前年比7.5%増の2兆2905億円、営業利益は同9.1%増の2576億円となり、今年7月時点の売上収益2兆3000億円、営業利益2600億円という通期見通しをわずかに下回った。

海外ユニクロ事業は売上収益が初めて1兆円を超えた。営業利益は前年比16.8%増の1389億円で、国内ユニクロ事業を超えた。

一方、上期に減益と苦戦した国内ユニクロ事業は、下期に営業増益に転じた。通期では前年比13.9%減の1024億円となった。

*内容を追加しました。

(清水律子)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃伴う演習開始 港湾など封

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補

ワールド

尹前大統領の妻、金品見返りに国政介入 韓国特別検が

ビジネス

日経平均は反落、需給面での売りが重し 次第にもみ合
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中