ニュース速報

米、イランと戦争する意図ない 国防長官代行がNATOで表明

2019年06月28日(金)03時08分

[ブリュッセル 27日 ロイター] - 米国のエスパー国防長官代行は27日、北大西洋条約機構(NATO)の国防相理事会で米国にはイランと戦争する意図はないと表明した。ただ米国は一段の事態発生は容認しない姿勢も示した。

非公開のNATO国防相理事会に出席していた外交筋によると、エスパー長官代行は、米国はオマーン沖で発生した石油タンカーの攻撃の背後にイランがいたと見なしているとしながらも、状況の悪化は望んでいないと指摘。「エスパー氏は米国はイランとの戦争は望んでいないと強調した。ただ、イランの行動について米国が容認するのはこれが限界で、今後のいかなる事態発生も容認しない姿勢を示した」と述べた。

エスパー氏は国防相理事会後の記者会見で、NATO加盟国に対しイランの敵対的な行動を公に非難し、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の安全を確保する現在進行形の計画に参画するよう呼び掛けたと明らかにし、「NATO加盟国と地域のパートナー国に対し、イランの行動を非難し、国際問題化する必要があると主張した」と述べた。ただ米国とイランとの間の緊張の緩和に協力するよう要請したことも明らかにした。

NATOのストルテンベルグ事務総長は国防相理事会後の記者会見で「米国が戦争を望んでいないと明確に示したことは重要だ。米国はイランと前提条件なしで協議を行う用意があると明確に示した」と述べた。

トランプ米大統領は今月21日、イランによる米軍の無人偵察機撃墜に対する報復措置として軍事攻撃を承認したものの、無人機の撃墜の報復として軍事攻撃は釣り合いが取れないと判断し、攻撃開始時間の10分前に撤回。 外交筋によると、欧州各国は今回の国防相理事会で、米国とイランとの間の緊張緩和に向けたあらゆる外交努力を尽くす方針を示した。

エスパー氏は、米国は戦争を望んでおらず、逆に欧州諸国に対し外交努力を支援するよう呼び掛けたとし、「米国はイランとの軍事衝突は望んでいないが、この地域における米軍、および米国の国益を守る用意はある。自制が弱さと解釈されることがあってはならない」と述べた。

米当局者は、エスパー氏が示した姿勢に多くの国が賛同したと表明。ただ外交筋によると、フランスがイランを巡る危機にNATOが正式に関与する可能性について懸念を示した。この件に関して、仏政府当局者からコメントは得られていない。

このほか、ドイツは2015年のイラン核合意について「今となってはこの合意しか残されていない」とし、重要性を改めて強調した。

エスパー氏は、これまでのところNATO加盟国で何らかの貢献をした国はないとしながらも、商業船に対する攻撃防止に向けた方策の検討はまだ「初期の段階」にあると指摘。NATO外交筋は、特定の要請はなかったとしているが、エスパー氏は記者団に対し、より広範な海上監視のほか、船舶の護衛などが選択肢として考えられるとし、「何が最も理にかなうか検討する」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪経済見通し、現時点でバランス取れている=中銀総裁

ワールド

原油先物横ばい、前日の上昇維持 ロシア製油所攻撃受

ワールド

クックFRB理事の解任認めず、米控訴裁が地裁判断支

ワールド

スウェーデン防衛費、対GDP比2.8%に拡大へ 2
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中