ニュース速報

第4四半期の豪GDPは前期比0.2%増、予想下回る伸び

2019年03月06日(水)16時16分

[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が6日発表した2018年第4・四半期の豪実質国内総生産(GDP)の前期比伸び率は0.2%と、市場予想を下回った。個人消費や住宅建設が伸び悩んだ。

ロイターのまとめたエコノミスト予想は0.3%だった。第3・四半期は0.3%で当初発表から改定されていない。

第4・四半期の成長率は前年比で2.3%と、2017年半ば以来の低水準。市場予想の2.5%を下回った。

今年、成長率が3%前後に回復すると予想するオーストラリア準備銀行(RBA、豪中央銀行)の見方とは一致していない。27年間リセッションに陥っていない豪州経済が勢いを失いつつあるのではないかとの懸念も浮上している。

GDP発表後、豪ドルは0.4%安の1豪ドル=0.7052米ドルと2カ月ぶり安値を付けた。

伸び鈍化の要因は個人消費にある。家計が消費を縮小させている中、成長に対する個人消費の寄与は0.2%にとどまった。個人消費はGDPの約57%を占める。

シドニーやメルボルンで住宅価格の下落が加速する中、住宅ローン残高は過去最高の水準となっている。賃金は長期にわたり伸び悩んでおり、世帯収入を圧迫。この状況が早期に変わる兆候は見えていない。

インディードのエコノミスト、カラム・ピカリング氏は「今回の指標は、良いところがほとんどなかった」と指摘。「賃金の伸び悩みにもかかわらず家計は底堅いが、問題はそれがいつまで続くかだ」と指摘した。

住宅価格の下落で住宅建設が低迷したことも、景気減速の一因。政府支出が唯一の支えとなっている。

オーストラリアでは、過去数十年にわたって高度な技術を持つ移民の流入が経済を支える要因となってきたが、現在、人口増加率は年率1.6%と、経済成長率を上回っている。

1人当たりのGDPは第4・四半期、第3・四半期とも減少。2四半期連続の減少は過去30年間で3回しか例がない。

RBCのエコノミスト、スリン・オン氏は「RBA総裁が財政政策に負担を求めていることは非常に明らかだ。総選挙は勢力が拮抗しており、財政出動の可能は十分にある」とし、「そうなれば、非常に歓迎できる状況となるだろう」との見方を示した。

<利下げ観測広がる>

ノムラのエコノミスト、アンドリュー・タイスハースト氏は「保証はできないが、おそらく今年の利下げの確率が高まっている」とし、国内外の経済低迷、家計の負債、住宅市場の悪化を指摘した。

同氏は「中銀は成長予測を大幅に下方修正するだろう。インフレが長期にわたって目標圏内を下回るリスクが増している」と述べた。

マッコーリーも今年2回の利下げがあると予測。JPモルガンも利下げを予測した。

マッコーリーのエコノミスト、リック・デベレル氏は「成長率がトレンドを下回っており、近く労働市場の悪化が始まるだろう」と述べた。

金利先物市場<0#YIB:>は、年内の利下げの確率を100%と予想。前日は86%だった。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中