ニュース速報

米住宅着工、昨年12月11.2%減 戸数は2年超ぶりの低水準

2019年02月27日(水)06時26分

[ワシントン 26日 ロイター] - 米商務省が26日発表した2018年12月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比11.2%減の107万8000戸と、16年9月以来の低水準に落ち込んだ。市場予想は125万戸だった。一戸建てと集合住宅がともに減少。米経済が昨年第4・四半期に鈍化したことが示された。

11月の数字は当初発表の125万6000戸から121万4000戸に下方改定された。

着工件数の先行指標となる建設許可の件数は12月に0.3%増の132万6000戸となったが、月々の変動が激しい集合住宅が押し上げ要因だった。

12月の統計は、35日間続いた政府機関の一部閉鎖で遅れて発表された。

12月は小売売上高や設備投資も軟調で、18年末に景気が減速したことが示唆された。また住宅着工件数の統計は、住宅投資が第4・四半期に縮小した可能性も示す。住宅投資は18年初めから縮小している。

住宅市場は昨年、住宅ローン金利が上昇したほか、用地・労働力不足の影響で在庫が逼迫し、住宅価格が上がったことで弱含んだ。こうした中、明るい材料はある。住宅ローン金利が低下しており、住宅の値上がりはペースが落ちている。賃金も安定的に伸びている。特に初めての住宅購入者にとって家が買いやすい状況となってきた可能性がある。

住宅着工件数の内訳は、市場で最も大きなシェアを占める一戸建て住宅が前月比6.7%減の75万8000戸と、16年8月以来の低水準。4カ月連続で落ち込んだ。地域別では最大市場の南部が2.2%増。一方で北東部は20.3%、西部は18.5%、中西部では14.2%それぞれ減少した。一戸建て住宅の許可件数は2.2%減の82万9000戸だった。

集合住宅の着工件数は20.4%減の32万戸だった。許可件数は4.9%増の49万7000戸だった。

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズ(ペンシルべニア州)の首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は、「経済は緩やかになっている。このことは米連邦準備理事会(FRB)が利上げに関して慎重なアプローチを維持することができることを示している」としている。

スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がこの日に発表した昨年12月のS&Pコアロジック・ケース・シラー米住宅価格指数は、20都市圏住宅価格指数が前月比0.2%増と、前月の0.3%増から鈍化した。前年比は4.2%増と、前月の4.6%増から鈍化し、12年8月以来の弱い伸びにとどまった。

JPモルガン(ニューヨーク)のエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「このところの住宅金利の低下を反映し、住宅関連の指標はある時点で上向く」と予想。ただ「裾野の広い上昇が見られるまで時間はかかる」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル中銀、金利据え置き戦略は適切と現時点で結論

ビジネス

米テスラ、カリフォルニア州で販売停止命令 執行は9

ワールド

カナダ、北極圏2カ所に領事館開設へ プレゼンス強化

ワールド

香港トップが習主席と会談、民主派メディア創業者の判
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中