ニュース速報

米連邦検察、トランプ氏元弁護士に「長期の禁錮刑」求刑

2018年12月10日(月)08時58分

[ワシントン/ニューヨーク 7日 ロイター] - 米ニューヨーク・マンハッタンの連邦検察は7日、トランプ米大統領の元個人弁護士、マイケル・コーエン被告に対し、トランプ氏の代わりに元ポルノ女優に口止め料を支払ったほか、脱税を行った罪で「長期間の禁錮刑」を求刑した。

コーエン被告は8月に罪を認めていた。

コーエン被告は2016年米大統領選を巡るロシア疑惑を調べるモラー特別検察官の捜査に協力しており、先週にはトランプ財団のモスクワ不動産事業に関して議会で虚偽証言をした問題でも有罪を認めていた。

ニューヨーク検察はコーエン被告によるモラー氏への協力はある程度評価すべきだが、検察への捜査協力に関して同様の合意はなかったと指摘。その上で、量刑ガイドラインでは4─5年とされる被告の刑期について、「若干」の減刑があるべきだとした。

モラー特別検察官のチームは同日、コーエン被告の捜査協力を評価する文書を裁判所に提出。被告が「捜査の中心的な問題」について自身と他の人々の行動に関する情報を自発的に提供し、提供された情報は捜査側が独自に得た「証拠と整合的で信頼できるものだった」とした。その上で、ニューヨーク検察による求刑以上の禁錮刑は必要ないとの見解を示した。

コーエン被告は12日、有罪を認めたすべての事件について判決が言い渡される予定。

モラー氏の文書によると、コーエン被告はモラー氏の事情聴取を最初に受けた際にトランプ財団のモスクワ不動産事業について虚偽の証言を行ったが、口止め料について8月に罪を認めた後、9月に再び聴取に応じた際は同事業について真実を語ったという。

モラー氏は、コーエン被告が議会で虚偽証言をしたことで、トランプ財団がモスクワに高層ビルを建設する計画を通じて「ロシア関係筋から何億ドルもの」報酬を受ける可能性があったという「事実を覆い隠した」と指摘した。

また、同計画をめぐる協議を捜査対象とする理由は、「ロシア政府による米大統領選介入に向けた継続的取り組みと同時期」に行われたからだとした。

文書によると、コーエン被告は2015年11月にトランプ陣営とロシアとの「政治的な相乗効果」を持ち掛けたロシア人と接触。プーチン大統領との面会を繰り返し提案されたが、実際に応じることはなかった。

モラー氏はまた、コーエン被告が2017年と18年に「ホワイトハウスの関係者と接触したことについて役立つ情報」を提供したと説明した。

大統領選のトランプ陣営元選対本部長マナフォート被告については、検察官や連邦捜査局(FBI)に対する虚偽証言について詳細を説明。モラー氏は前月、マナフォート被告が司法取引に違反したとして無効にしている。

文書によると、マナフォート被告はロシアの情報機関と関係があるとされる政治コンサルタントと交わした情報などについて「うそと認識できる」虚偽証言を複数回行ったという。

モラー氏は4日に裁判所に提出した文書で、FBIへの虚偽供述の罪を認めているマイケル・フリン元大統領補佐官について、「十分な」捜査協力をしたと評価して、禁錮刑の実刑を免除すべきだと主張している。

トランプ大統領は7日の一連のツイートで、連邦捜査当局などに利益相反が生じていると批判したが、証拠は示さなかった。ホワイトハウスのサンダース報道官は、コーエン被告はうそつきで裁判所に提出された文書は「重要性のある新たな情報はない」と一蹴した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中