──ただ、その背景には戦前の失敗もあるのではないか。戦前、日本は独立思考、自立の精神を持ちすぎ、力による現状変更を試みて失敗した。

第1次大戦後、国際連盟ができたが、アメリカは上院が批准を否決し、加盟しなかった。一方、アジア太平洋では、新しい秩序を築こうという動きがあった。アメリカ、日本、イギリスが中心となり、中国をどう安定させるか、太平洋でアメリカと日本がどう安定した関係を築くかが大きなテーマだった。

日本はもう少し国際協調を貫き、1920年代のワシントン体制に中国を組み入れ、ルールメーカーとしての役割を果たす可能性を追求すべきだった。第1次大戦後、日本は五大国の一角を占めていた。その立場を国際社会で生かすこともできたはずだ。しかし、中国をめぐってアメリカと対立してしまった。

日本には「遅れてきた帝国主義」という側面もあった。世界は次の時代へ向かっていたにもかかわらず、古いゲームを最後まで続けようとした。自分たちで秩序をつくったのではなく、後からその秩序に加わったため、どうしても時差が生まれる。

その中で、自国の立ち位置を国際政治の中でどう定めるかの戦略を描けなかった。

──中国は今、グレートファイアウォールで西側からの情報を制限している。普遍的価値の流入を防ぐだけでなく、百度や抖音など米IT大手GAFAに匹敵するサービスを国内で発展させている。今後、米中のデカップリング(分離)は加速するか。

加速するかどうかは分からないが、その方向は続くと思う。10年、20年はデカップリングの方向に動くのではないか。

日本の戦略的価値は下がった
【関連記事】