しかしながら、この政策には実効性という点で大きな問題がある。その理由は、大企業が税制優遇だけでベンチャーを積極的に買収する可能性は低いからである。

安倍政権時代、政府は法人税の減税を繰り返し、既にかなりの低税率となっている。加えて、日本には以前から租税特別措置(租特)と呼ばれる優遇税制があり、多くの大企業がこの制度を利用して節税している。現実問題として、大企業は税金をあまり払っていないので、減税策を提示されても、魅力的には感じないだろう。

むしろ、旧態依然とした経営の刷新を目的に政府が進める「ガバナンス強化策」において、ベンチャー企業活用を促したほうが圧倒的に効果が高いと考えられる。欧米各国でも、全ての大企業経営者が勇猛果敢にベンチャー企業の新技術を活用しているわけではない。経営者に対して、現状維持を許さない市場環境があるからこそ、ベンチャー企業の買収や新技術の採用が進むという現実を、理解しておく必要がある。

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