一方でプライバシー保護の観点から問題が指摘されている。例えば合法的な反政府デモに参加する際にマスクで顔を隠していても政府に身元がバレてしまう可能性がある。ストーカーに盗撮されて身元がバレるケースも想定される。

このためプライバシー保護の観点から、同社を相手取った訴訟が既に何件か起こっている。人権団体ACAU(米公民権連合)は2020年9月、個人を特定できる身体情報を不法に取得することを禁じたイリノイ州の法律に違反するとして、同州地裁に同社を提訴している。


またニューヨーク州、カリフォルニア州でも同社を相手取った集団訴訟が起こっているほか、facebookやTwitterではサイトにアップされた写真の利用の中止を文書で同社に要求しているという。


とはいっても顔認証AIの技術を持つのはClearView社1社だけではないし、今後も顔認証AI技術は急速に進化していくことだろう。ClearView1社だけを規制すればすむ話ではない。


このためニューヨーク市警では、顔認証技術の使用に関するガイドラインを策定。同社のような顔認証AIサービスを利用するには、一定の上級役職の許可が必要で、テロ対策などの特定の用途に限定するなどと規定している。しかしガイドラインを個々の組織に任せるのではなく、社会としても一定のガイドラインを策定する必要があるのかもしれない。