2つ目の根拠は、CEOが変わったから。前CEOのSteve Ballmer氏は、創業者Bill Gatesの意思を踏襲した経営者だった。Windowsのシェアを脅かすLINUXに対しては敵意を丸出しにし、「LINUXは触れるものすべての知的所有権にくいつく癌である」と非難したことで有名だ。

 Ballmer氏に代わって2年前にCEOに就任したSatya Nadella氏は、Ballmer氏と真逆の戦略に乗り出した。Ballmer氏があれほど敵対視していたLINUXのサポートを決めただけでなく、Windowsという過去の成功体験からくるプライドをかなぐり捨てて、新しい領域に果敢に挑戦し始めている。クラウド・コンピューティングや、VR、AIなど、新しい領域での同社の評判は上々だ。

 この新しいCEOが、基礎研究の成果を使って新しい事業領域に乗り出そうとしている。その動きを支えるのが、Windowsのインストールベースと幅広い顧客層。3つ目の根拠だ。

 テック・ニュース的には「過去の企業」扱いされても、腐っても鯛。ビジネス界における影響力はいまだに半端ない。どれだけ優秀な頭脳を集めたベンチャー企業でも、ビジネス界における影響力ではMicrosoftの右に出ることろはないだろう。

 この3つの条件を揃え持つMicrosoftが、AIの領域に全力で向かい始めた。特にビジネス向けのチャットボットで、時代の最先端に躍り出ようという考えだ。

【参考記事】カスタマーサポートでチャットボットの普及が見込まれる理由

 7月にカナダで開催されたMicrosoftのパートナー向け総会で、CEOのNadella氏は「チャットボットはコンピューティングを根本から革命的に変える」と語っている。「今は、ボットはアプリを補完する感じだが、いずれ自然言語がすべてのコンピュータの新たなインターフェイスになる」というのが同氏の予測だ。「モバイルアプリであれ、PCソフトであれ、ウェブサイトであれ、すべての開発者は今後、新しいインターフェイスとしてボットを開発するようになるだろう。対話型UIがプルダウンメニューに取って代わるだろう」とまで語っている。

テック業界の主戦場はSNSからメッセンジャーへと移行