[ロンドン 3日 ロイター] - 世界の金融市場が年初から急落し、その回復の糸口がまだ見い出せない中、各国の中央銀行と政府は市場の沈静化という喫緊の課題に直面している。ただ、原油安と人民元安、世界的な景気後退(リセッション)への懸念を背景とした市場の混乱は簡単に回復しそうにない。

パイオニア・インベストメンツのグループ最高投資責任者(CIO)、ジョルダーノ・ロンバルド氏は「中銀は金融の安定を注視し続けてはいるものの、次第に有効性を失っており、世界的な金融危機後のように中期的な市場のボラティリティーを抑制できない可能性がある」と警告する。

今月26─27日に20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議が上海で開催されるのを控え、当局者は今のところ基本的に「台本に忠実」だ。つまり、過去2週間で協議された措置はいずれも昨年のG20共同声明をそのまま踏襲したものだ。

各国中銀はこれまで、共同声明にある「金融市場のボラティリティーを注視し、必要な措置を取る」との公約を忠実に実践してきた。

最も踏み込んだ措置を取ったのが、先週マイナス金利を初めて導入した日銀で、欧州中央銀行(ECB)はすでにマイナスとなっている中銀預金金利を来月にもさらに引き下げる可能性を示唆し続けている。

米連邦準備理事会(FRB)とイングランド銀行(英中銀)はともに、新たな市場のボラティリティーを政策決定上の主要な検討事項に挙げ、市場が予想する利上げ時期を米国では年後半に、英国では来年に後ずれさせた。

この点も、過去のG20共同声明にある「金融政策の方向性に差が生じ、金融市場のボラティリティーが高まる環境では、マイナスの影響を最小化するため、金融政策を慎重に調整し、明確に伝達すべき」との文言に沿っている。

今年のG20議長国の中国は、人民元相場を安定的に維持する方針を繰り返し表明している。

さらに、G20メンバーのサウジアラビアとロシアを含む主要産油国は、原油相場の急落を受け、供給過剰の解消に向け少なくとも話し合いには着手した。

これについても以前の共同声明で、原油安の継続は必ずしもプラスとはいえず、不安定要素となりうると言及されている。

G20はたしかに共同声明の公約を実践している。しかし、それで十分だろうか。

<次の課題>

多くの投資家と政府にとっての大きな懸念は、世界全体の経済見通しはさほど悪くなくても、金融市場に対する信頼感の喪失が危機を招くかもしれないという点だ。

一部では、強制的な「グランドバーゲン(包括合意)」が必要との意見がある。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのストラテジストらは、中国からの資金逃避を加速させている投機を鎮めるために、1985年のプラザ合意に似た「中国版プラザ合意」として、人民元の一度限りの大幅切り下げが必要になる可能性を指摘。また、ドイツやフランス、英国による財政支出の拡大なども提案した。

ただ、マクロ環境と市場が悪化しないかぎり、正しい政策対応が引き出されない可能性を深く懸念している、とも付け加えた。

市場の下落は多くの場合、センチメントや金融政策だけが要因でなく、今や政府系ファンドや新興国中銀によるパニック売りに加え、優良企業の業績悪化や資産の評価減、ジャンク級格付けや配当をめぐる懸念が要因となっている。

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