2009年と2021年を比べて見れば、経済的な環境には大きな違いがあります。2008年9月のリーマン・ショックを受けて、金融危機が迫るなかで雇用も消費も冷え込んでいた2009年と比べて、コロナ禍が経済に大きな影響を与えている2021年の状況が似ているかというと、全く違います。

2021年は、非常に特殊な状況になっています。航空、ホテル、外食、サービスなどコロナ禍で壊滅的な打撃を被っている産業がある一方で、アメリカのGDPの根幹を形成している知的産業はテレワークなどでどんどん価値を創造しています。その結果として、アメリカの株式市場は新興企業向けのNASDAQだけでなく、NYSEも高値圏にあります。結果として、当然のことながら格差はどんどん拡大しています。

2009年の経済運営は、当座は「全体の成長を促す」だけで当面は許された訳ですが、2021年の経済運営ははるかに難しい状況です。具体的には、3つの難題を抱えていることになります。

それは、

▼コロナ禍のなかでの経済対策、特に失業対策を感染収束まで継続する

▼コロナ禍が過ぎても残る雇用や格差の構造に対して世論が納得する対策を行う

▼その一方で、全体的に好調な景気や株価の足を引っ張ることはできない

という3つです。

これは2009年とは全く次元の違う困難です。前FRB議長のイエレンを財務長官に迎えたのは、こうした困難に対処するためだと理解できます。

今回は、軍事外交については触れませんが、そうした問題も含めて、バイデン次期政権は、オバマ政権とは全く異なる環境の下で、全く異なる課題に取り組むことが要請されていると思います。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます