そうとは言えない。まず、今回の事案は極めて単純なものだった。ロバーツ長官が指摘しているように、IEEPAの条文を合理的に読めば、大統領に関税に関する無制約の権限を与えているなどとはとうてい解釈できない。

それに、トランプ政権の関税政策にはアメリカの産業界も否定的だった。その点、最高裁の保守派の判事たちは、企業の利害に配慮した判断を下すことが多い。

最高裁の判事たちにとって、この大統領に立ち向かうためには勇気を奮い起こさなくてはならないことは確かだ。

全ての権限を手中に収めようとする大統領から憲法を守るために、最高裁は独立性を発揮できるのか──トランプがホワイトハウスに帰還して以降、この点には疑問符が付いてきた。実際、最高裁はしばしばその役割から逃げてきた。

しかし、最高裁にも譲れない一線はあったのだ。

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