生物工学やシェアバイクも、古代から存在していた?
メンドタ湖で発見された最も古いカヌーは、五大湖地域で発見されたカヌーの中で最古のものであり、北米東部全体でも三番目に古いものだ。
16隻のカヌーのうち半数は、レッドオークまたはホワイトオーク(いずれも北米原産のナラの一種)で作られている。
特に、水を吸収しやすく、通常は水上用の船体には使用されないレッドオークを使用したという点は研究者たちの興味を引いた。オークが用いられた理由についての現在有力な説は、オークは傷や感染症、加齢といったストレスを受けると、「チロース」と呼ばれる細胞の突起を形成する性質があるからというものだ。チロースは水の移動を妨げ、菌類や細菌の広がりを防ぐだけでなく、木材の耐水性、浮力、腐敗への耐性を高める働きを持つ。
ウィスコンシン州歴史協会の海洋考古学者タマラ・トムセンは、「カヌーの製作者たちは、嵐などで損傷した木を意図的に選んでいた、あるいは成長過程で意図的に傷つけてチロースの形成を促していた可能性がある」と語る。
「バイオエンジニアリングは現代的な技術だと考えられがちだ。しかし、その概念が生まれる20世紀半ばよりもはるか昔から、同様の発想が存在していた可能性がある」
また、これらのカヌーは大きく分けて湖の2カ所から発見された。研究者たちはこれを、特定の地点間の移動を可能にし、天然資源確保を容易にするため、戦略的に配置されたことの証だと見ている。
さらに、これらのカヌーは個人所有ではなく、共同体の中で共有され、特定の場所に保管されていたと考えられている。これは、現代のシェアバイク制度に似た仕組みともいえる。
スペリオル湖チペワ族バッドリバー・バンドの部族歴史保護担当官ラリー・プルチンスキーは、これらのカヌーについて
「洗練された移動ネットワークと、相互につながった共同体の存在を示すものだ。古代の人々は卓越した技術と知識を駆使して、この土地で生き抜き、繁栄していたのだ」と語った。「そして我々も今、同じ土地で生き、繁栄している」
古代の人々の知恵は、現代人の我々から見ても、なかなか侮れないのかもしれない。
【関連記事】
【動画】湖底に沈んだ、古代文明解明のカギを握るカヌーの正体
【動画】ボイニッチ手稿がついに解読された? その内容は?
米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由