もしも28年段階で「トランプに人気があり、つまり世論調査で40%台半ばの支持率があり、かつ経済も好調なら、バンスには強い追い風だ」と、この人物は言う。「だが20年の選挙の時のようにトランプが国民から見限られたら、バンスも終わりだ」
今は応援団長に徹する
バンスは副大統領として特定の政策を任されていない。そのため24年のハリスと違って、28年の大統領選で副大統領時代の事績や失態を突かれる心配がない。だからこそ今は、いくらでもトランプ大統領を擁護できる。
バンスはトランプの経済政策を宣伝するために全国を飛び回ってきたし、移民排斥を進める政権のシンボルとして対メキシコ国境に派遣されたこともある。10月にはイスラエルまで出向き、トランプ主導の停戦を維持するよう、イスラエル政府とハマスに圧力をかけた。
25年2月にはアメリカ代表団を率いてミュンヘン安全保障会議に参加し、言論の自由や移民の問題に関して欧州諸国の対応を痛烈に批判する演説をした。この演説で彼は、トランプ大統領の反グローバリズムを見事に代弁する能力を世界に見せつけた。だが彼をよく知る人たちによれば、そこには彼自身の世界観と、衰退した中西部の工業地帯で育ち、イラク戦争に従軍した経験も反映されていたらしい。
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