その一方、これらアラブ諸国はイスラエルの押し付ける地域秩序に内在する危険をアメリカが理解してくれることを望んでいる。
そしてトランプに、彼らの思い描く包括的な外交・経済協定に基づく地域秩序のビジョンを支持するよう求めることだろう。ガザ地区での停戦にトランプが乗り出したのは彼らにとって重要な勝利だったが、まだアメリカの本気度を信じるには足りない。
だから今のところ、中東各国は政治的、イデオロギー的な思惑の違いを超えて団結し、何とかしてイスラエルの軍事力に対抗する道を模索している。必要なら中国やロシアの支持や支援も求める構えだ。23年10月7日に始まった紛争は中東の秩序を大きく変えた。今も変化は続いており、どこまで行くか、どれだけの犠牲が必要となるかは、まだ誰にも見通せない。
バリ・ナスルVALI NASR
米ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)教授。1960年にイランの首都テヘランで生まれ、79年のイラン革命後にアメリカへ移住。
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