<異動を告げられ、高校の校長に転身した勤続33年の公務員。「素人校長」の奮闘と、その後の意外な転身とは...>

『素人校長ばたばた日記――県庁職員、教員免許なし、いきなり異動命じられました』(川田公長・著、五館シンシャ/フォレスト出版)は、さまざまな仕事に携わる人のありさまを綴った「日記シリーズ」の最新版。今回の主役である著者は、33年間にわたって県庁に勤めていたという人物である。
『素人校長ばたばた日記――県庁職員、教員免許なし、いきなり異動命じられました』
つまり「校長の仕事」とは無縁で、なんの前触れもなく高校校長への異動を告げられたのだという。教員免許がなくても校長になれることを、このとき知ったそうだ(私も知らなかった)。

異動の事実を奥様に告げるシーンが、非常に味わい深い。帰宅してすぐに内示のことを話したのは、「誰かに言いたくて仕方がなかった」からだというが、なんとなく気持ちは分かる。私でも、きっと同じことを考えただろう。


「今日、異動の内示があったよ」
「あっそう。でも、ずいぶん早いわね」
 これまで異動は何度も経験しており、妻も慣れっこだ。ただ、内示の早さを不審に思ったようだった。異動先を伝えたら驚くだろうと思うと少しワクワクしてきた。
「高校の校長だって」私は平静を装い、澄ました顔で言った。
「えっ、どこの?」案の定、目を丸くしてびっくりしている。
「まだわからない。教えてくれなかった」
「あなた、教員免許持ってたっけ?」やっぱり夫婦、私と同じ疑問だ。
「校長や教頭は教員免許がなくてもなれるんだよ」いかにも当然そうに言う。(13〜14ページより)

この時点でおもしろすぎる。「日記シリーズ」はすべて読んできたので、ここから七転八倒のギャグ的展開になるのであろうと容易に想像できた。ところが、意外にもそうではなかった。長らく公務員人生を送ってきた方であるせいか、どんな時でも冷静沈着なのである。

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