むしろこの1カ月以上続く衝突は、双方の根本的な対立を解決する機が、まだ熟していないことを示している。そして戦闘がやめば、外交の機が熟したと考えるべき理由も、ほぼない。
ハマスにとって重要なのは、勝つことよりも、負けないことであり、たとえ負けたとしても、イスラエルの不当な占領に抵抗したグループという評価が強化されるだけだ。
イスラエルの手は血まみれだが、別の道を模索すべきだと考えるほどではない。それに戦争前に進んでいたアラブ諸国との関係改善に向けたプロセスは(表向きの非難はさておき)ほぼ無傷だ。
従って多くの死と破壊、そしてブリンケンのシャトル外交が終わったとき、中東情勢は戦争前となんら変わっていないだろう。
確かにイスラエル・ハマス戦争は、世界に影響を及ぼす大事件に見える。だが、4度にわたる中東戦争を経た1979年にエジプトとイスラエルが和平条約を結んだときや、冷戦の終結、そして2001年の米同時多発テロのような国際情勢にパラダイムシフトをもたらすものではない。
そこにあるのは依然として、自らの正しさを熱狂的に信じる2つの陣営による局地的な紛争だ。
ブリンケンがどれだけマイレージを稼いでも、その事実は今後も変わらないだろう。
鉄道黄金期を迎えたヨーロッパを旅する――コリン・ジョイス(ジャーナリスト)/豪快かつ特異なアメリカ大陸鉄道史/膨張する中国鉄路の野望/「夢の超特急」リニアの現実/韓国、アフリカ、インド……世界を駆ける鉄道新事情