ニジェール同様フランスの植民地だった中央アフリカ共和国やマリなどでは、フランスの駐留軍の撤退に伴い、その空白を埋める形でワグネルが雇われ、反政府勢力の鎮圧や兵士の訓練に当たってきた経緯がある。ニジェールの混乱につけ込んで、ワグネル、さらにはその活動を利用してきたロシアが、この地域で影響力を強めるのはほぼ確実とみていい。

ロイターは7月30日、ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンとみられる人物が通信アプリのテレグラムにニジェールのクーデターを支持する音声メッセージを投稿したと伝えた。ロイターは発信者がプリゴジンであることは確認できなかったが、「ロシア語の特徴的なイントネーションと言い回し」からその可能性が高いと指摘した。

音声メッセージは西側の「植民地支配からの解放」を勝ち取ったニジェールの軍部を祝福し、秩序回復に貢献するためワグネル戦闘員の派遣を申し出る内容だ。

プリゴジンは6月後半にロシア軍トップに対する反乱を企てて失敗したが、今でもクレムリン高官とつながりを保っているとみられる。その証拠に7月末にロシアのサンクトペテルブルクでロシア・アフリカ首脳会議が開催された際、会場周辺にいたことを示す写真がワグネル系列のソーシャルメディアで公開された。

得するのはジハーディストだけ

クラークはその後のX(ツイッター)への投稿で、「ロシアがアフリカ諸国でクーデターを扇動しているなどと騒ぎ立てるのは避けるべきだが、ロシアは(ニジェールの政変などを)影響力拡大の好機とみなし、巧みに利用する。その能力をみくびってはいけない」と釘を刺した。

クラークは本誌のメール取材に応じてニジェールの状況をより詳しく述べた。それによれば、西側は西アフリカの15カ国の経済統合に向けた枠組み「西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)」を引き続き支援する。クーデター以前はニジェールもECOWASに加盟していたが、反西側を掲げる軍部が政権を握ったため、今後はロシアに急傾斜するとみられる。「ニジェール(さらには、やはりECOWASの加盟国であるブルキナファソとマリにも)ワグネルを通じて軍事的な支援を行ってきロシアは、この地域でさらに影響力を強めるだろう」と、クラークはみる。

結果的に、「より広い範囲に混乱が広がる確率が高まる」というのだ。

「そうなれば、一番得をするのはジハーディストだ。混乱に乗じて、サヘル地域で勢力を拡大し、新兵を募り、支配地域を広げるだろう。その可能性が高いとは言わないが、ゼロではない」

「サヘル地域全体にテロや戦闘が広がり、この地域の国々が挙って国家崩壊の危機に瀕すれば」、喜ぶのはジハーディストだけで、「アメリカも、ロシアと中国も、フランスも何かを失うことになる」と、クラークは警告する。

<動画>ロシアとワグネルを支持する!とフランス国旗を燃やす群衆
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