中国が今年1月に長期の国境閉鎖を終了すると、電子商取引企業でマーケティングの仕事に携わるティエンニ・レンさん(28)は早速、チームのスタッフ14人によるオーストラリア旅行の計画に取りかかった。ソーシャルメディアで魅了されたピンク色の塩湖が見たかったからだ。

しかし、結局は同僚を連れて行ったのはニュージーランドだった。中国政府が認定する団体海外旅行先のリストから、オーストラリアが除外されたからだ。

450億豪ドル(300億ドル)規模を誇るオーストラリアの国際観光市場では2020年初頭まで、この制度のおかげで中国人観光客が支配的な地位を占めていた。それが、20年ぶりにリストから外れたのだ。

「旅行代理店に問い合わせたところ、オーストラリアは団体旅行リストにないと言われた」とレンさん。「ピンク色の湖を見ることができなかったのは残念」と語る。

中国の認証旅行先ステータス(ADS)では、団体旅行が認められる国として約60カ国を認定している。

オーストラリアでは、中国からの観光客が戻ってくると広く期待されていた。だが、ビザ(査証)の規則に加え、比較的高い旅行コスト、航空便の不足、中国標準語を話すガイドの流出によって極めて低い水準の来訪数にとどまり、オーストラリアで4番目に大きい輸出産業である観光業を圧迫している。

国境再開後の2月、中国からオーストラリアへの短期旅行者は4万0430人だったことが、政府のデータで明らかになった。これは、過去最高年となった2019年の同月の5分の1で、ニュージーランド、英国、米国からの訪問者数に大きく遅れをとっている。

一方、航空分析会社シリウムによると、中国本土からオーストラリアへの航空便の輸送能力は2月時点で、新型コロナウイルスのパンデミック以前の5分の1に縮小している。燃料費の高騰で運賃が上昇し、需要が落ち込んだためだ。

ドイツを拠点とするコンサルティング・グループ、中国アウトバウンド観光研究所によると、中国からの出国者数は、全体的にはパンデミック前の3分の2に回復した。

中国政府はオーストラリアのADS認定を終了した理由を明らかにしなかった。しかし、旅行業界関係者によると、両国の貿易紛争や、安全保障を巡る欧米と中国の対立激化など、地政学上の関係悪化が一因とされる。

オーストラリア政府観光局は、コメントを控えた。

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