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愛馬リッチーこと、リッチストライク SILAS WALKE-LEXINGTON HERALD-LEADER-TRIBUNE NEWS SERVICE/GETTY IMAGES

8時59分に電話が鳴った

ほかにケンタッキーダービーの前にやった訓練と言えば、リッチーをチャーチルダウンズに連れていき、騒音や人だかり、報道陣のカメラ音に慣れさせることだった。しかし、この時点でリッチーは補欠馬で、ゼッケンは21番。出走馬20頭のうち1頭がレース前日の5月6日午前9時までに欠場を申し出れば、繰り上げ出走できるという立場だった。

6日の8時45分になっても、何の連絡もない。8時50分頃、私の情報筋が冴えない顔でやって来た。「繰り上げ出走は難しそうだ」

電話が鳴ったのは8時59分。リッチーを出場させる意思はあるかという主催者からの連絡だ。「もちろん!」という言葉をやっと口にできた。

レース当日、出走の1時間半前から準備に取り掛かった。リッチーはスタッフに引かれながら、しっかりとパドックを歩いた。流れている音楽には注意を向けず、出走馬が近くを通って観客が騒いでも気にしない。この舞台を何百回も経験したかのような振る舞いだった。

レースが始まるとリッチーは数頭と並んで走っていたが、カーブの途中で群れの中へ分け入り、見えなくなった。いま6位だ、と誰かが言った。リッチーの前にいた馬が転んだが、騎手のソニー・リオンがうまくかわして難を逃れた。「これは行けるかも!」と私は叫び、そのまま倒れ込んだ。だから私は、リッチーがフィニッシュする瞬間を見ていない。でも彼は紛れもなく、ケンタッキーダービーを制した。

優勝賞金は186万ドル。その60%以上はリッチーの力によるものだ。私の取り分はオーナーの取り分の10%だが、大変な額には違いない。

周りは私に「エリック、やったな、さすがだ」と言うが、私は大したことはしていない。家族とスタッフに感謝あるのみ。願わくば、この喜びが長く続きますように。

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